第142話 フルーツサンドと不老不死の霊薬完成!

不老不死の霊薬が完成したとの知らせを受けてマリーの自宅に向かう拓哉一家。

マリーは、霊薬を作るのに、夜以外は食べていないので、毎日朝昼と食事を届けていた。今日は、フルーツサンドを持参している。


「霊薬を飲んだら、ラリサとアニカと桜花と長い間、一緒に居られるから俺は嬉しいよ」


拓哉が真ん中で、左右にラリサと桜花がいて拓哉と手を繋いでいる。アニカは、定位置の抱っこである。


「お父さんとずっと一緒嬉しいです。私も早く大人になりたいな」


「パパとずっと一緒なの。アニカは、おっきくなりたくないの。抱っこしてもらえなくなるの」


「僕は、神獣だから寿命ないんだよ。だから、ずっと側にいるからね」


相変わらず、ずっと一緒に居たいと思ってくれている3人には感謝と嬉しさしかない拓哉。それに、桜花に寿命がないことを知って、改めて今回の不老不死の決断は間違っていなかったなと思うのだった。一人寂しく余生を過ごす桜花を見たくないからね。


「ありがとうな。一人老いて3人を残して死ぬのは辛かったからなって言っていたら着いたぞ」


トントントン!

ノックをする拓哉。奥から「は〜い」という声がしてマリーが出迎えてくれる。


「こんにちは、さぁ〜皆さん入ってください」


マリーの家は、村でもみんなと離れた場所に建てられている。更には錬金術に使う部屋は密閉に近い状態で、ドアの前からも凄い匂いがしていた。だが、これらは村に匂いや有毒な物を極力出さない為に、マリーがお願いしたことである。


「リビングで待っていてくれますか?今錬金工房は凄い匂いが充満して死者くらいしか立ち入れないのです」


そりゃ、竜や龍の血や他の素材などを混ぜ合わせたりしたらそうなるよなと思う拓哉。


「わかった。待っておくよ」


そう言ってポテトチップスと炭酸飲料を出して戻るのを待つ。


「あるじ、この茶色いシュワシュワした飲み物に驚いたんだよ。口に入れたら暴れだしたんだよ」


某大手の茶色い炭酸飲料である。子供に大人気だけど初めてだと、こういう反応になっちゃうよな。


「パパ〜、アニカは、オレンジジュースがいいの口の中が痛いの〜」


涙目になりながら訴えるアニカにごめんと謝りながら、オレンジジュースを入れてあげる。


「ん〜やっぱりオレンジジュースおいしいの」


「お父さん、甘くてシュワシュワで刺激があって不思議だけど、凄くクセになっておいしいです。私は、もっと飲みたくなります」


ラリサは、この飲み物を気に入ったようだ。いつかソーダとかラムネを出してもラリサなら平気そうだなと思うよ拓哉。


そうこうしていたら、マリーが戻ってきた。


「これが、不老不死の霊薬です。飲むと後戻りはできませんので、飲むか飲まないか最終決断をしてください」


拓哉は、何も躊躇することなく瓶の蓋を開ける。だが、強烈な匂いが襲い、それで手が止まる。


「うっ! これ凄い強烈な匂いだね...良薬は口に苦しと言うけど範疇を超えてないか?まぁでも飲まないとな」


あまりの臭さにアニカもラリサも桜花も鼻を摘む。拓哉も、鼻を摘んで一気に飲み干す。


「うぇ〜...苦いしどろっとしたこの感じが気持ち悪い...」


レンガ色のドロッとした液体を飲み干した拓哉は、顔の原形がとどまらない程の苦々しい顔をする。


「味と匂いはどうしようもできないのです。すいません...霊薬は、この1年をかけて体に定着していきますので、凄い変化があるとかではないです。副作用もないので、今まで通り過ごしてください」


てっきり光りだすとか何かあると思っていたが、そういうものはなく少し呆気なかったと感じる拓哉。


「それにしても、長い間、本当にありがとうございました。マリーのお陰で、悩みなく家族と一緒に過ごせそうだよ」


5日程、ずっと作製をしてくれていたのを知っているので、素直に感謝する。


「そう言ってもらえると嬉しいですが、素材を集めてくれたみんなのお陰ですよ」


「集めてくれたみんなにも、もちろん感謝してるよ。それはそうと、飯は、まだだろうから一緒に食べよう」


アイテムボックスからバケットを取り出す。


「さぁ〜沢山用意したから好きなのを食べてくれ。今日は、フルーツサンドだ」


畑で採れた色々なフルーツがサンドされており、色鮮やかで綺麗な彩りになっている。拓哉以外は、全体女の子なのでテンションが凄い上がっているようだ。


「イチゴサンド、甘酸っぱくておいしい〜生クリームも甘くて疲れが一気に飛びそうです」


おいしそうに口いっぱいに頬張るマリー。

エルダーリッチなので疲れはないのだろうが、それくらいおいしいのだと思う。


「メロンだよ。甘くてジューシーで爽やかや味がして生クリームとも合っておいしんだよ」


桜花は、夕張メロンサンドを食べたようだ。果汁が滴り落ちるくらい凄い汁である。


「みかんみかんみかんなの〜甘くてちょっと酸っぱくてアニカは、これが大好きなの〜」


口の周りに生クリームを大量に付けながら、モグモグしている姿は、かなり可愛らしい。

拓哉が、ハンカチで口を拭いてあげると、エヘヘと可愛らしく笑う。


「このキウイ、甘酸っぱくて生クリームの甘さとも合うのですが、凄くいい香りがします。あの畑のお陰かな?とりあえず、凄くおいしい」


魔素を大量に吸っているからこその味わいと香りなんだろうな。開拓できたら、米とかも植えるのありだなと思う拓哉。


こうして無事不老不死になり、かわいい女の子達の笑顔を見ることが出来て大満足な拓哉であった。

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