第126話 (後編) 頑張る子供達とアーノルド壊れる!

厨房では


「僕がナポリタンとボロネーゼを作るからヤナはグラさんに合う物をデータから洗い出して作って。カイルはモツを煮込み直して。二人ともお願いするんだよ」


ヤナのシステムを有効活用する桜花。 現代的?ん〜異世界的?である。


「カニを茹でてそのまま出すかな。 バリボリいきたいみたいだし。 あとは、トマトとムール貝のパスタを出そう。 パスタ尽くしにはなるけど、バリボリいけるだろうしね」


なんで、殻ごと食べるのだろうとモツを煮込みながら思うカイル。


「ラリサさん、モツ煮込み出来たから出してくださ〜い」


「は〜い。今行きま〜す。 あと、マリーさんとヤミンくんからハヤシライスの注文入りました」


どんどん注文が入る。 厨房にいる3人は、まだ開店直後にも関わらず、となるのであった。


「ハンバーグとライス2つお願いなの」


そんなことを考えていたらまた注文が入る。


「僕がハヤシライス作ります。 ハンバーグ作れる方いますか?」


一人だと手が回らないカイルが助けを求める。


「アニカ、ナポリタンとボロネーゼできたよ。お願い! カイル、僕がハンバーグやるんだよ」


パスタを作り終えた桜花が言う。


「カニ出来たからグラさんに持って言ってほしい」


「は〜い! お酒用意したら一緒に持っていきます」


ラリサが、ビールを入れながら答える。 みんな汗だくになりながら、本当にどうやって拓哉は一人でこなしているのと思う。 本当に料理の神じゃないかと。


一方ホールでは


「お待たせしました。 カニと冷酒です。 これも、殻ごと食べるんですか...?」


グラデュースがまた殻ごといくのか気になるラリサ。 それを知っている周りの住人も耳を傾ける。


「あっはっは、当たり前だな。 この食感がいいんじゃないか。 それと、拓哉がカルシウム?というのがあると言っていた。なんでも骨を強くするらしいぞ」


拓哉は、体に悪い可能性や食べ過ぎには注意と言ったのだが、全く悪いことは聞いていないグラデュース。


バリバリボリボリ!


「す、凄いですね...」


周りもと呆れるのであった。


「アニカちゃん、トマトジュースとトマトツナそうめんをお願いします」


推しメンであるアニカに注文をするアーノルド。 高貴な吸血鬼は、どこにいったのやら...デレデレなおじさんである。


「アーノルドおじちゃん、待っててなの。 いつも来てくれてアニカ嬉しいの」


「いつまででも待ってますからねぇ。 欲しい物があったらおじちゃんに言うのですよぉ」


完璧に違うお店ではないかと思わせる空気が漂っている。


「アーノルドおじちゃんがいっぱい頼んでくれたら嬉しいの。 今日は無料だからいっぱい食べてほしいの」


無欲なアニカにアーノルドは、なんていい子なのだと更に泥沼にハマっていくのであった。 それを見ていたヴァレリーがベアトリスに話す。


「ベアよ、あんな男を連れてきたら消し炭だからな。 覚えておくように」


「私だって、あんなデレデレした人嫌ですよ。 夢を持ってて尊敬されていて強い人がいいです」


「ん?俺のことか? まだまだベアはお父さん大好きなかわいい娘なのだな。安心した」


「はぁ〜...」


そもそもどんな人連れて行っても、まずは決闘だになるでしょと思うベアトリス。 そして、アーノルドさんと一緒でここにもバカな人がいると思うベアトリスだった。 ため息しかでないとはこのことだろう。


厨房では


「一旦落ち着いたんだよ。 あとは、追加注文あるくらいだからヤナとカイルに任せるね。 アニカから厨房にきて!オムライス作るよ」


落ち着いてきたので、アニカとラリサを交代で料理を教えようとしている。


「すぐ行くの〜」


「なんですと〜!私にアニカちゃんが作ったオムライスを頂けませんか?お願いします」


やはりアーノルドが出てきた。 もしここに、バクールがいたら全面戦争だろう。


「うん。 アニカの初めてのオムライスでいいなら食べてほしいの」


それを聞いたアーノルドは、と言って椅子から転げ落ちるのだった。


その後、無事にアーノルドは、アニカのオムライスを食べることに成功したのだが、周りからのイメージと失望度が増したことを本人は気づいていない。


子供食堂は、無事に成功を収めたのだが、拓哉がいるいないでここまでお店の感じが変わるのかと思う住人達であった。

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