第119話 不老不死の霊薬の手掛かりと村長就任!

天界から帰ってきた次の日


呼ばれた住人達が、議会所にどんどん集まってくる。 何故呼ばれたのだろうと住人同士で話し合いながら中に入っていく。

全員が席に座ったタイミングで拓哉が話し始める。


「急に集まってもらってすいません。 知ってる人も知らない人もいるので、1から説明するから最後まで聞いてもらいたいです....」


マリーに話したように、創造神によって連れて来られたこと目的が与えられていること、そして昨日天界に連れて行かれたことを話す。 最後に、天界で茂三や元王達に言われたことを伝えて、拓哉の願望である長命な村の住人達とより長く一緒に過ごしたいことも言った。その為に、霊薬の件でグラデュースに協力をしてほしいとも伝える。


それを聞いたみんなはざわつき始める。 アレンとモニカとカイルは、何がなんやら状態だったが創造神に会った住人が再度説明している。 グラデュースが霊薬のことで拓哉に話しかけてくる。


「友だから協力はするが、地竜と火竜はすでに血があるんだよな?」


「そうだね。 ちゃんとアイテムボックスにあるから大丈夫。 その他の竜が何体いるのか種類すら知らないんだよな」


昨日マリーに聞くのをすっかり忘れていた拓哉。


「水竜・雷竜・威風龍・殲滅龍の4種類だな。 殲滅龍以外は俺が言えばすぐ手に入るが殲滅龍とは仲が悪い...多分戦いになるな。 俺は構わないが大陸の半分以上が消滅するだろう」


待て待て!1番厄介そうな名前のやつと過去に何があったんだよ。 それに、半分以上も大陸が消滅するって...


「はぁぁぁ...まさかそんな難易度の高い話とは...って待てよ! マリーは、不老不死の霊薬を作ることに成功したんだよな?何故全部の血を集めれたんだ? あと何故自分に使わずエルダーリッチになった?」


そうだよ。 作った人がいるならその人に聞けばいいんだと思う拓哉。  

マリーに対して敬語ではないのは、使徒様だと分かり絶対畏まらないでほしいと言われたからだ。


「霊力草という物を探しに山へ行った時に、そこに住む老人がレシピと一緒にくれたんです。 どうせ嘘だと思いましたが、無償で渡されたので受け取りその材料とレシピで作ったら本当に完成してお礼を言いに行くと、どうしても不老不死の霊薬が必要だと言われて元々その人の物でしたし、私は作れて満足したので理由も聞かず渡しました。 あ!そう言えば、その時言われたのですが、"あの料理人がなくなってしまったからもう二度と霊薬は作れないだろう"と仰っていました」


色々ツッコみたいことは山程あるな。 本当にマリーの生前は錬金術で何かを生み出すしか興味がなかったみたいだ。 しかも、あの料理人て...茂三さんだよなきっと...


「なるほど。 マリーさん、その山に行きたいのですが案内できますか? 生きていないかもしれませんが、日記などがあればもしかすると殲滅龍の好きな料理名くらいはわかるかなと」


絶対死にたくないと思う拓哉はいつも以上の行動力を見せる。 戦わずに料理で手に入れられるなら行くしかないでしょうと。


「可能ですが...少なくとも300年は経っていますよ。 家があるかすらも...」


300年で確定だな。 茂三さんだ。なら俺にも作れる可能性が増したぞ。 あとは、手掛かりだけだな。


「とりあえず案内を頼みたい。 多分料理人は茂三さんのことだから手掛かりさえあれば作れる可能性があるんだ!」


いつの間にか、アレンもモニカもカイルもこちらの話を真剣に聞いている。 周りから話を聞いて本当だと理解したのだろう。 


「わかりました。 何時頃出発しますか?」


誰を連れて行くかだよな...転移が使えるボーンさんに協力してもらえるか聞こう。 あとは、師匠とマリー...以上だな。


「転移可能なボーンさんに協力可能か聞いてからにします。 あとは、師匠とマリー着いてきてください。 1日...遅くて2日間で帰りますので、その間は"子供食堂"を開きましょう。 簡単な物なら桜花が作れますし、カイルくんもヤナくんも一目見たら覚えますから大丈夫でしょう。 あとアレンさんには、この村の村長として住みやすい街をバルトと考えて下さい。 多分、殲滅龍に会いに行かないといけなくなりそうなので、アレンさんに任せたいのです。 お願いできますか?」


アレンは、まさか自分に振られると思っておらず焦る。 最近は、他種族の住人と仲良くなり、種族の生活様式や習慣など色々聞いて回っている。 だからこそ、村を発展させるのに向いていると考えたのだ。


「私がですか? 荷が重すぎますよ〜。 拓哉さ...使徒様がやられた方がいいと思いますが...」


使徒である拓哉がやる方が周りが付いてくると考えたからだ。


「拓哉でいいですよ。 使徒って柄じゃありませんから。あはは、それから俺は料理人なので管理とか内政とか不向きなんです。 手伝いはしますからお願いできませんか?」


そう言うと周りからも「アレンでいいだろう」と言う声が聞こえてきた。


「貴方、やってみたら? 使徒様のお墨付きだし、こんな名誉ある仕事をした人は世界にいないんじゃない?私も支えるわ」


モニカがアレンを説得する。


「妻も協力してくれるみたいですからわかりました。 やりましょう。 その代わり給料増やしてくださいね」


冗談を言うアレンに周りは爆笑するのであった。


それから、ずっと黙っていた娘たちが話し始める。


「私もお父さんと長く一緒にいたいから、今回のこと嬉しいし協力します」


「アニカも、パパと一緒にいたいの」


「あるじ、いつまでも一緒だよ。 不老不死の件は協力したいんだよ。だから行ってくるんだよ」


それを聞いた拓哉は、3人を抱きしめる。周りは、温かい目をして見るのだった。

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