第106話 (中編) 子供の大好物には代償があった!!

「よし!これからミノタウロス100%チーズインハンバーグを作っていくぞ。 まず、みんなで玉ねぎをみじん切りにしてくれ。 相当な量いるけど頑張って切るぞぉぉ」


キロ単位で肉があるので、相当な玉ねぎをみじん切りにしないといけない。 

カイル ヤナ 桜花は、軽快に切っていくが...


「ありゅじ〜...涙が止まりゃないんだよぉぉ。 玉ねぎ切りはやっぱり苦手なんだよぉぉ」


目を赤くポロポロ涙を流しながら言う桜花。


「桜花しゃん...僕も...目が痛いですぅぅ....」


鼻水を垂らしながら、ポロポロ涙を流すカイル。 そこに、救世主ヤナが言う。


「カイルは、休んでいいよ!! 俺がカイルの分も切る」


ゴーレムだからか、刺激の元の硫化アリルもエネルギーに変換しているのか...?? それにしても、ヤナは過保護過ぎないか??カイルが、ダメな子になっちゃうぞと思う拓哉。 


「頑張って切ってくれよ! 玉ねぎ全然足らないからね。 お!ラリサとアニカ、うまいこと切れてるなぁぁ。 偉いぞ」


ラリサは、ゆっくりだが確実にみじん切りしてくれている。 アニカは、細かく切れていないが、まな板を切らないだけ成長したので褒める拓哉。 拓哉もなんだかんだ過保護なのである。


「ほらぁぁ僕も、すんごく頑張ってるよぉぉ!褒めて褒めて〜」


ヤミンが、拓哉の腕に抱きつきながら言う。

それを見た桜花とラリサが同時に「なっ!?!?」と目を見開いて、あの子なにしてる!?という顔をするが、事前に男と聞いているので、ぐぬぬぬとしか言えない。 見た目が、女の子だから余計たちが悪いのだ。


「ヤミンくんも、うまいぞ。 偉い偉い。 でも、危ないから腕から離れてな」


ドキドキする気持ちを抑えながら言う拓哉。  桜花とラリサは、ジト目で拓哉を見る。 カイルとヤナは、ニヤニヤしながら眺めている。


「お前らなんだその目はぁぁ! はいはい!続き続き。 玉ねぎはいいからこねていくぞぉぉ」


居たたまれなくなった拓哉は話を逸らす。

みんなが、それを聞いて「ハハハ!」と笑い出す。 桜花もラリサも、半分冗談でジト目をしていたようだ。


「ミノタウロスの肉と玉ねぎと塩コショウとパン粉と卵とナツメグを入れて、コネコネして粘りが出るまで混ぜて」


グチャグチャ混ぜ合わせていく。 粘土遊びみたいで俺もよく小さい時、楽しんだなぁと思っていると、アニカ達からも笑い声が聞こえる。 異世界の子供達にも楽しいようだ。


「パパ〜楽しいぃぃ!ネチャネチャだけど遊んでるみたいぃ」


「お父さん、ベチベチ叩きつけるのスッキリしますね」


アニカは、かわいい子供のように楽しんでいるが、ラリサは、日頃の何かをぶつけるようにベチベチしている。 俺なんか悪いことした!?と思う拓哉。


「そろそろいい感じだから、とろけるチーズをちぎって真ん中に入れてこんな形にしていく。 みんなやってみて」


各々、大きさは人それぞれだが初めてにしては、うまいこと小判形を作っている。 一部団子みたいになってるのもあるけど焼く時、整えたらいいし大丈夫だ!


「均等な大きさにするの難しいよぉぉ」


ヤミンは、かなり几帳面というか、こういうのをちゃんと気にするんだと新たな一面が見えて楽しい。


「アワワワ...チーズが飛び出しましたぁぁ」


欲張ってチーズをふんだんに入れたラリサは、どうしようもなくなり慌てる。


「ラリサ、欲張り過ぎ! こうやって減らして、もう1回形作り直してと。 これくらいでも、とろとろのチーズが溢れ出るから心配しないで」


2回目からは、拓哉の言い付けを守ってちゃんとした量を入れて作ってうまくいっている。


「あとは、焼いたら完成。 焼く前に、真ん中をへこませて均等に焼けるようにすることを忘れないように。 ソースは、事前にトマト多めのハヤシライスを作ってあるからそれをかけよう」


フライパンで、人数分を焼き始める。

大人に作る時は、料理ができる桜花と習得が早いカイルとヤナに任せようと思う。

とりあえずは、拓哉が焼いて見本を見せる!


「両面に焼き目が付いたら、ハヤシライスと一緒に5分間煮込んだら完成だ。 大人達に出す時の役割としては、桜花とカイルとヤナが焼き担当、給仕担当が、ラリサとアニカとヤミンで回していく。 だから、桜花とカイルくんとヤナくんは、焼くのをよく見といてくれよ」


みんなが、「は〜い!」といい返事をしてくれる。

いい感じに煮込まれて、皿に、ライスとハンバーグとトマトたっぷりのハヤシライスのルーを大量に入れる。 村の畑のトマトは、酸味より糖度が多いので子供が大好きな味に仕上がっていると思う。 更には、チーズまでインされているのだから。


「わぁぁ凄くいい匂いがします。 早く食べたいぃ」 


厨房が、お腹を刺激するいい匂いで充満している。


「自分の皿を持って、テーブルへ持っていこう」


各々がテーブルに持っていき席につく。 拓哉は、お茶をコップに入れて全員に配って席に付く。


「早速食べよう。 いただきます」


「いただきま〜す」


一斉に口に入れる。 入れてから咀嚼をしてまた口に入れる。 それの繰り返しで誰も話そうとしない。 欠食児童の如く、一心不乱に食べている。


「おかわりがほしいんだよぉぉ」


他の子供達も、無言でお皿を出してくる。

無言で一斉に出されたら、恐怖でしかないんだが、それより大人達に出せる料理なのか?おいしいのか?感想を聞かせてほしいんだけど...


「おかわりはわかった。 味はどうなの? 大人達に出せそう!?」


全員が言う。

「おいしいぃぃ! もっと食べたいよぉぉ」


拓哉は悟った。 子供達の好きな物を出すと感想より食欲が勝ることを...まぁおいしいならいいかと思う拓哉。

その後、1枚300gくらいあるハンバーグを1人3枚も食べた。 一体どこに入るのだろうと思う拓哉だった。

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