第78話 王国に出発と居残り組はおやつを堪能!
3日後
朝早くから、みんなが集まった。
マリーは、インビシブルポーションを精製して、桜花に家族と予備を合わせて6本渡した。
拓哉は、先日のポーション代と一緒に代金を払う。 ボーンは、姿を隠す魔法があるらしく、ほぼ無限に近い魔力の為、魔法が解ける心配もないようだ。
作戦としては、ボーンの転移魔法で王国の近くまで行き、フェンが正面から入り冒険者ギルドで噂や情報を探るらしい。 ボーンと桜花とシャドーは、昼間は待機して夜に侵入する。 シャドーと桜花は、家族の元に行き脱出。その際に、アレンからもらった手紙を渡して刺客ではないと証明するそうだ。
ボーンは、アレンが隠した証拠を取りに行き、関わった人物に制裁を加えるとのこと。 王様の部屋に侵入して魔法で関わりがあるかまで探るとのことだ。
「実働部隊のみんなは、本当に気をつけてくれよ。 どこに罠があるかわからないのと、危険ならすぐ逃げてくれよ」
凄く心配をする拓哉。
「本当は、私自ら行きたいのですが、その力がなくて皆様に頼るしかなく情けないばかりです。 よろしくお願いします。 あ!家族一緒にいるであろうメンドー卿が信用しなければ、昔好きな女の子を追いかけて将軍にぶつかり怖さのあまり失禁と大泣きした話をしてください。 必ず信用してくれるはずです」
何故か恥ずかしい話を信用の道具として使えと言うアレン。
アレンさん、それを見ず知らずの少女である桜花から言われたら、プライドズタズタになり、泣き崩れるんじゃないかと思う拓哉。
それとアレンも、ここ数日で失神をせずに、コミュニケーションが取れるようになった。 最初は、普通なら会うこともないであろう、他種族に怯えていたが、一緒にいるうちに人間と変わらない生活や行動をしていることを知って、自らバルトの仕事を見学したり、畑を耕したり、ボーンに話しかけたりしている。
「私に任せてください。 全ての不正を暴いて王国を脅してきましょう」
う〜ん? それは正しいことだと思うんだけど、ボーンだけやり過ぎるような気がするんだよな〜
「ボーンさん、本当にくれぐれも無茶はしないでくださいね。 一般人を巻き込むようなことは」
「そこは、しっかり対策をしますよ。 私の魔法はヴァレリーさんにも負けませんからね。 それよりも祝杯の準備をしといてください」
自信満々のボーン。
「帰ってきたら、ご馳走とちゃんと褒めるんだよ」
「わかってるよ。 凱旋を期待して待ってるからな。 あと向こうに着いたらみんなで食べてくれお弁当だ。 一応3日分用意してるから」
王国に行くメンバーは、大喜びする。何かなと開け出すボーンさんに、拓哉が「遠足前にはしゃぐ子供か」とツッコむ。 それを聞いて「おやつ代はいくらですかな?」と返すボーン。いつの間に、日本の知識をつけたんだと思う拓哉。
「そろそろ行きましょうか。 では、皆さん検討を祈っててください」
そう言うと、その場からすぐに消えて転移するのであった。
「師匠とシャーリーとビーチェはこれからどうするの?」
「新しい剣技が完成したから、魔境のやつらに通用するから試しに行くところだ。 帰ったら冷たいビールを用意しといてくれ」
新しい剣技?すげ〜気になる。今度見せてもらおう。 うまい物とビールを用意して待っとくか。
「ついでで構わないので、鳥系の魔物がいたら狩ってきてもらえませんか? ビールと言えば唐揚げでしょ?」
「任せておけ。唐揚げは美味だからな。 では、行ってくる」
そのまま、森の中に消えていく小次郎。
「私たちは、畑を見にいくまでは、家でのんびりしようと思います」
ビーチェも同じように頷く。
「もし暇なら、甘いおやつを作ろうとしてるんだけど食べない?」
それを聞いた2人は目をキラキラさせて言う。
「「食べます。 早く作りましょう」」
「アレンさんも、いかがですか? 正直、貴族のお菓子よりおいしい自信がありますよ」
「そこまで言われたら気になりますね。 普段お菓子を食べないのですが、有り難く頂きます」
「俺の家に行きましょう」
拓哉の家に付き、拓哉以外はリビングでジュースを飲んで待ってもらっている。
拓哉は、薄力粉 強力粉 牛乳 ベーキングパウダー バニラエッセンス 卵 砂糖を用意する。
薄力粉 強力粉 ベーキングパウダー 砂糖をボールに入れて混ぜる。 ある程度混ざった所で、牛乳 バニラエッセンス 卵を入れてなめらかになるまで混ぜる。
混ぜ終わったボールを持ってホールに戻る拓哉。
「よし!ホットプレートも温まってるな。 ここに、こうやって平たく丸くなるように生地を広げていく。 表面にポツポツと気泡が現れて4つくらい弾けたらひっくり返すタイミングだから。 最初はやってみるから、おかわりほしい人は自分でやってみてな」
暫くして、ポツポツと気泡が弾けるタイミングで、拓哉がひっくり返す。 綺麗な色の生地と綺麗にひっくり返す拓哉を見て周りから「お〜」と言う声が聞こえる。
次第に、膨れ上がって中まで火が通ると、なんとも言えない、微かに甘いホットケーキ独特の香りが漂う。
「香ばしい!?違いますね。 私たちが作るフォカッチの匂いに近いです。 でも、こっちの方がおいしそうです」
拓哉は聞いたことがない料理の名前が出て聞いてみる。
「フォカッチってどんな料理なの?」
「平たいパンです。 パサパサしてるので、スープにつけて食べたり、森で食べるならベリーを乗せて食べたりしますよ」
平たいと言うことは、ベーキングパウダーとかドライイーストがないからなのか?それとも、そういう物なのか? 聞いたことがない食べ物だったので、一度食べてみたいなと思う拓哉。
「おもしろそうですね。 いつか精霊の国で本場のフォカッチを食べてみたいですね。 おっと! いい感じに焼けましたよ。 では、バターを乗せて、このメイプルシロップをかけて食べてみてください」
1人1枚ずつ皿に乗せて配る。
ビーチェは、もう口の中に入れている。
「あま〜い!それにフワフワです〜! フォカッチなんかより数億倍おいしいです。 ふわぁ〜! このメイプルシロップ大好きになりそうです」
甘いメイプルシロップの虜になったビーチェ。 たっぷりヒタヒタになるまでかけている。
「ビーチェ、ほどほどにな。 うまいのわかるけど、メイプルシロップを食べ過ぎたら病気になるぞ」
それを聞いてもビーチェは、にへらと笑い追いソースならぬ追いメイプルシロップをしている。 拓哉は、それを見てこれ以上なにも言うまいと思うのだった。
「メイプルシロップもおいしいですが、甘みのあるフワフワの生地がなんとも言えませんね。 何故こんなフワフワになるんでしょう?」
「特別なフワフワになる物を入れているからだな。 多分ここにはない物だから果物...例えばりんごの皮を使った天然酵母パンを作るのは可能かな。 今後教えてあげるよ。 それか、パン作りをみんなでやろうか?」
それを聞いたシャーリーとビーチェは、やった〜と喜ぶ。 こうして見ると、女の子は精霊も人間も変わりないんだなと痛感する拓哉。
「甘い物を普段食べない私も、この乳の味がする濃い物(バター)をつけると、重厚感があり、男性でもおいしく頂けますよ。 子供たちが好きそうで、早く妻と子供に食べさせてあげたいです」
そうかぁ! 魔国やここに来る人には、バターの存在を明かしたけど、人間の国にはない物だったな。 それにしても、家族思いの優しい人だな。
「それは、バターと言って動物の乳からできた加工品ですね。 おいしいですよね。 ご家族が帰ってきましたら、これより好きそうな暑い日にぴったりなかき氷を提供しますから楽しみにしてください」
その後、自ら焼いてもらったり、アレンさんの家族の話や拓哉の家族の話や精霊の日常をアレンさんに話などした。
普段働き者のシャーリーとビーチェを見ているからか、意外にも怠け者な精霊にアレンさんは驚くのであった。
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