第77話 ボーンさんを見て失神する貴族!

18時

桜花が看板を出しに行く。

いつものように、ヴァレリー フェン ボーン マリー バルト 小次郎 精霊の2人 妖精が10人待っていた。 

マリーも最初の方は、この凄い面子に驚いていたが、今は仲良く話すようになり、よくシャーリーとビーチェと女子会をしながら盛り上がっている。

アレンには、先に席で座って待ってもらっている。


「「いらっしゃいませ」」


桜花は慣れた感じで、みんなを席に案内して注文を受けて拓哉に伝えている。


アレンは、入ってくるお客さんを凝視しながら、ヴァレリー一家でまず叫び、妖精で更に大声を出して、ボーンを見た瞬間に、椅子から転げ落ちて失神した。 慌てて拓哉が駆け寄り、みんなに断りを入れて2階に寝かしに行く。


その後は、慌ただしく注文された食事とお酒を運びながら時間が過ぎていった。

21時を回った辺りから、シャーリーとビーチェと妖精たちが帰宅した。


「気絶している人間は、害を成すやつではないのか?」


人に対してよく思っていないヴァレリーが聞いてくる。 


昼間あった出来事とアレンが何故ここにいるのかを話して解決策がないか相談する拓哉。


「家族を安全にこちらに連れてくる方法ありませんかね?」


「あるにはあるが、本当にあの人間をここに置いていいのか? 後々巻き込まれる可能性があるぞ」


「その時は、仕方ないですね。 お恥ずかしいですが皆様の力をお借りします」


ヴィクトリアが近寄ってくる。


「高いわよ。 いっぱいおいしい物を作ってもらおうかしらね」


拓哉からしたらそんなことでいいのと思う。 仮にも、魔王の婦人だぞ。本当に一家揃って無理な要求をしないいい人達だなと思うのであった。


「その時は、盛大に振る舞いますよ。 今回も解決したらある食べ物をみんなで焼いてパーティーをしましょう。 それで、作戦はどんな感じにしますか?」


ある物とは、たこ焼きである。 各々が好きに焼いて楽しめるようにしようと考えている。


「配下のシャドー部隊を使う。 戦闘力は低いが、相手から見えずに行動ができる。 それから、桜花を借りたい。 もし、敵に見つかった場合、幻術が使える味方がいれば、証拠を残さず立ち去れるからな。 あとは、姿を消せる魔道具があればいいのだが」


マリーが笑う。


「ふふふ、それなら任せてください。 インビジブルポーションを1日で仕上げてきます。 3日間は、姿を消したまま移動できる画期的なポーションなのです」


拓哉は思う。 

もうなんでもありだな。 ここに来てるお客さんなら、大抵の事解決するんじゃないか? それに、国一つなら数日で落としてしまいそうだな。 本当にこういう時は頼もしい。


「桜花、無理に行かなくてもいいけど、どうする?」


危険なところにわざわざ行かすのは、忍びないが、神獣である桜花が簡単に捕まるはずもないと思い自己判断に任せる。


「本当はあるじのそばにいたいけど、役に立つなら行くんだよ」


「そうか。 ならしっかり役目を果たしてきてくれな。 帰ったらご褒美にかき氷を食べさせてあげよう」


「やったんだよ。 すぐ連れて帰ってくる」


やる気満々になる桜花。

ヴィクトリアがかき氷に反応する。


「かきごおり!?何かお菓子のような気がするのだけど、当然私にも頂けるわよね?」


この人のお菓子レーダーは、異常ではないかと。出さないと恐ろしいことが待っていそうなので答える。


「当たり前ですよ。 ちゃんと作りますからね」


それを聞いて満足そうな顔をするヴィクトリア。 桜花にどんなお菓子か聞いてワイワイ盛り上がっている。

そうしていると、意外な人物ボーンも参戦する。


「私も行きますよ。 久々に人間の国も見てみたいですしね。 当然フェンも行きますから、何かあれば王国を滅ぼしても助けますよ」


助けは有り難いけど、最後怖い発言したよな。 大丈夫かな? 頼むから街中で広域魔法だけは放たないでくれ。 フェンは、冒険者の身分があるからすんなり入れるし、心配はないか。


「ボーンさん、あんまり目立たないようにしてくださいね。 見た目から目立つんですから。 フェン、ボーンの見張り頼みましたよ」


「人聞きの悪いことを! ちょっと、今回関わったやつらにお仕置きをするだけですよ。くっくっくっ」


それ!それです。ボーンさん!1番目立つ行動。 絶対やらかしてくるな。


「僕に任せてよ。 ちゃんと手綱は引いとくよ。 ちょっと、イラッとしたら僕も我慢しないけどね」


あか〜ん! もう王国滅びたなこりゃ! 正直俺からしたら、国が滅びようがどうでもいいけど。


神界から見てた神様達は、1番怖いのはお前(拓哉)だよと思うのだった。


「では、3日後の朝に集合して出発するぞ。 よし!酔いも冷めたし呑み直しだ。 拓哉、ウィスキーを人数分持ってきてくれ」


そう言った瞬間、2階からアレンが下りてくる。

「拓哉さん、先程はありえない光景を見てごめい...」

バタン!

また倒れるアレン!


「桜花、ごめんだけど朝まで起きないように幻術かけてくれない?」


桜花に頼んで、いい夢が見られる幻術をかけてもらい、また2階に運ぶのであった。


「私、そんな怖いでしょうか。 骨にしてはイケメンだと思うのですが...」


みんなが、イケメンよりもスケルトンの顔の見分けつかねぇよと思うのであった。

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