第20話 早朝魔物狩りと獣人娘のスキル!

朝5時


生活費を稼ぐ為、初の魔物狩りに行く準備をする。以前キマイラの時に、回収した戦利品の胸当てを携え魔境に向かう。

ちなみに、ラリサとアニカは既に目覚めており、魔物狩りに行ってくる趣旨を伝えたのと、朝飯までの小腹の足しにクッキーを置いてきた。

出掛ける直前にラリサとアニカから「「お父さん(パパ)いってらっしゃい」」と言われたのが胸キュンするほど嬉しかった。両親も死別し、恋人も妻もいない前世では、何年も言われていなかったことで、自然に笑顔になっていた。


「そろそろ魔物避けのないとこだし、気を引き締める必要があるな」


魔境の中間付近に位置しているこの辺りは人間にとって、いつ死んでもおかしくない場所である。帰宅できるよう木にしっかりマーカーもつけて迷わないようにする。


グォー(ザシュッ) グォー(ザシュッ) グォー(ザシュッ)


「さっきからオーガしかいないな。しかも一直線にくるから身体強化で避けて首を刎ねるの繰り返しだ。肉は食用不可らしいから牙とか魔石とか素材くらいしか価値がない要らない子だな」


それからもゴブリンとオーガしか出会わず帰宅する。


はぁ...悲しきかな戦果ゼロ!トホホ

まぁ20体以上いるし端金にはなるかな。


そんなことを考えていたら店が見えてきて、ラリサとアニカが、「おかえりなさい」って手を振って出迎えてくれている。


「ラリサにアニカ、ただいま!ずっと待っててくれたのか?」


「外の空気が吸いたくてちょうど外に出たとこです」


本当は心配で、ずっと待っていたラリサだが、恥ずかしいので本心は隠す。


「帰りを待つのは妻の務めなの」


アニカが胸を張りながら何か言っている。


「ラリサありがとうな。すぐご飯作るからな。あの〜アニカさん!?いつ妻になられたのですか〜?ってどこでそんなこと覚えたんだ」


6歳児が妻とか冗談でも先が思いやられるよまったく...アニカは大物になるかもな


「もうアニカったらまたそんなこと言って。昔から両親の真似をして楽しんでたことがあって、多分それだと思います」


マジか?これは俺がしっかりしてないと、変なことを真似されて恥じかくことなるな...しかも、えへへって笑って可愛く誤魔化す技術まで【なんて恐ろしい子!!】


そんな話をしながら店に入り、ラリサとアニカには、席を拭いてもらうのと飲み物の用意をしてもらった。 俺は料理の準備だ。


簡単なものを作ったのですぐ完成し、席に持って行く。


「今日はフレンチトーストとスクランブルエッグとサラダだよ。スクランブルの赤いソースケチャップっていうんだけど足りなきゃ好きなだけかけて、あとサラダのドレッシングも好きなだけかけていいからな。ではいただきます」


「「いただきます」」


おっ!ちゃんと昨日言ったこと覚えてたな!偉い偉い!


「パパ!このパンあま〜い。サラダもこのソースかけたらおいしいの」


アニカは、幸せそうな顔している。 ラリサは、妹を見るような目でアニカを見る。


「アニカが、ちゃんと野菜食べてる偉い。昔から野菜嫌いで大変だったんです。お父さんパン本当に甘くて噛んだらジュワッと出てくるのが堪らなくおいしいです。卵もふわふわでおいしい」


へぇ〜アニカは、野菜嫌いだったのか。今後は、工夫して作らないとな。あとラリサは、相変わらずの食レポっぷり驚かされちゃうよお父さんは。


そのあとも和気藹々と楽しい食事を済ませて、昨日言えなかった。ごちそうさまを今後は言っていくことを伝えた。それと悲しきかな魔境にしては、戦果ゼロの狩りを報告すると2人が慰めてくれた。一応オーガは狩ってるんだからね。強がる拓哉。


片付けをみんなで済ませる。一度家に戻って拓哉はシャワーを浴びてからリビングに集まる。


「これより第1回ラリサ&アニカのスキルチェックを行う。まずはラリサ二等兵前へ」


変な悪ノリでスタートする。アニカはキャハハって笑ってくれてるが、ラリサは自分のスキルがあるかないか、気が気でなく真剣な顔で目の前にきた。


鑑定!!


名前:ラリサ

性別:女

種族:銀狼

年齢 :12歳

レベル :6

HP:100

MP:600

魔法 :聖魔法【※現在解放:ヒール】

スキル:【魔力操作】


お〜聖魔法いいな。まだヒールしか解放出来てないみたいだけど今後に期待だな。


「喜べラリサ!スキルも魔法もある。まず魔法は聖魔法。まだヒールしか解放されてないみたいだけど、俺には魔法の才能がないし、ヴァレリーさん辺りが来たら聞いてみてもいいかもな。あとスキルは魔力操作だった。魔法が扱いやすくなるし申し分ないスキルだと思うよ」


拓哉が伝える。


「え?お父さん本当!?獣人は魔法が苦手なはずなのになんで?でも魔法もスキルも嬉しい...これでお父さんを少しでも助けれるかな!?」


驚いたラリサは、敬語を忘れ独り言のように話す。アニカはお姉ちゃん凄〜いと褒めている。


「予想でいいならだけど、多分両親のどっちかが異種族か先祖返りの可能性もあると思う。どちらにしても、家系に魔法に長けた人物がいたんだろうな。それにしてもおめでとうラリサ」


素直に祝福する。


「両親も銀狼だったので、多分ご先祖様に異種族が居たんだと思います。頑張っていろんな聖魔法覚えます」


ラリサが鼻の穴を広げてフンフン言いながら言う。


「ラリサなら凄い聖魔法使いになるかもな。頑張れよ。次はアニカだな。アニカおいで」


トコトコと期待に満ちた目でやってくるアニカ。


鑑定!!


名前:アニカ

性別:女

種族:銀狼

年齢 :6歳

レベル :1

HP:100

MP:0

魔法 :なし

スキル:【身体強化】

《※解放前 【獣神化】 【超嗅覚】》←10歳を迎えたら解放


ほう〜アニカは超接近特化だな。流石獣人!既にHPもラリサと同じとはな。身体強化あるしアニカが鍛えたいなら教えるのもありだな。 うちの子達、優秀過ぎないか!?


「アニカには魔法適性はなかった。だけどスキルは魔法適性がなくても、余りあるほどの物を持ってる。今は身体強化が使えるみたいで、10歳になったら獣神化と超嗅覚が解放されるみたいだ。もし強くなりたいなら身体強化は教えるから言ってくれ」


「パパと一緒の身体強化嬉しい!!!パパと一緒に稽古するの」


魔法とかスキルより俺と同じとか稽古のことを考えているアニカ。拓哉は思わず抱きしめたくなるほどに嬉しくなった。


「アニカもおめでとう。2人とも将来有望で俺は嬉しいよ。本当は学校とかに行かせるべきなんだろうけど知り合いもないし、魔境だから行かせてあげれなくてごめんな」


喜ぶと同時に将来の芽を潰してしまったのではと感じる拓哉。


「お父さんとずっと一緒に居たから学校行かなくて大丈夫です。お父さんもアニカもいるから不安なんかありませんよ」


「アニカも〜ずっとパパと一緒。学校よりパパやラリサと居たいの」


2人が拓哉を励ます。(本心で2人は語っている)


「そうかそうか!2人ともありがとうな。俺もラリサとアニカと居たいぞ〜。流石に、2人ともいつかは結婚して家庭を築いてほしいけどな」


「アニカはパパと結婚するの」


よく小さい子が言うあれだなと理解し、アニカの頭を撫でながら、ありがとうなって言う拓哉。


「私も拓哉と結婚したいもん(小声)」


ラリサは小声でつい本音を漏らす。

拓哉にはちゃんと聞き取られていなかった。


「ラリサなんか言ったか?」


「なんでもな〜い!お父さんのバカ」


恥ずかしくなり大声を出す。


拓哉は訳がわからず焦る。ラリサはプイッと後ろを向く。


昼をむかえて、昼飯のあと機嫌取りでプリンを出したら、あっさり機嫌は直り笑顔で食べていた。 それからラリサとアニカに接客と営業中、何をするか教えていたら開店の時間を迎えるのだった。

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