第14話 4人で朝食とエルとの別れ!
昨日はラリサとアニカが、店の2階で寝ていたので、エルを自宅に招いて一部屋貸した。
いつもより1時間程早く目覚めた拓哉は、寝ているであろうエルドレッドを起こさないように支度し店に向かう。(ちゃんと書き置きを残して)
カランカラン
店に着く拓哉!
「まだラリサもアニカも寝てるのか〜!先に朝ご飯の準備をしようかな」
厨房に向かう拓哉。
多分、今日にはエルは出て行くだろうし、火乃国の料理が好きそうだから、和食を作ろうかな?昨日聞いたら焼き魚とか味噌汁も食べたことあるみたいだし。
そんなことを思いながら準備をする。
「おはようございます。拓哉さん。昨日はありがとうございました。アニカ、改めて挨拶して」
ラリサがアニカの背中を押しながら挨拶するように欲する。
「あの...拓哉お兄ちゃん助けてくれてありがとう。アニカっていうの」
まだ小さいからだろうか?少し言葉足らず君に話すアニカ。
「アニカ、拓哉さんは年上なんだから、ちゃんと敬語を使わないとダメじゃない。ごめんなさい拓哉さん」
ラリサがアニカに注意しながら頭を下げる。
「ラリサ、気にしなくていいよ。一緒に暮らすのに畏まることもないから。敬語も不要。なんならラリサも、普通に話してほしいな?アニカもそのままでいいからなぁ」
叱られて下を向いていたアニカが、笑顔になる。
ラリサは納得してないが頷く。
「ラリサ、多分もうすぐしたらエルもくるから、その前にアニカにこの服を着させてあげて。あとアニカ、エルって竜人のお兄さんがくるけど怖がらず挨拶してなぁ」
アイテムボックスから服を出す拓哉。
「はーい」 「拓哉お兄ちゃんありがとう。挨拶も頑張るの」
ラリサとアニカが言う。
2人が離れて行き、料理をしながら2人とも元気になってよかったなと思う拓哉だった。
カランカラン
エルドレッドが店に入ってくる。
「拓哉すまんな寝過ごしてしまった。鍵はかけといたからカウンターに置いとくぞ」
「エルごめん。料理中で手が離せないから席に座っててくれ。もうじき2人もくるから挨拶しといて」
大声で厨房から叫ぶ拓哉。
「了解した」
エルドレッドが席に着くと2人の女の子が2階から降りてきた。
「ラリサおはよう。アニカもおはよう」
エルドレッドが言う。拓哉から事前にアニカの名前は聞いていた。
「エルさんおはようございます。アニカ挨拶して」
「えっと...エルお兄ちゃんおはよう。助けてくれてありがとうなの」
アニカは竜人と事前に聞いていた為、怖がらず挨拶する。
「なんのなんの。無事でよかった。みんなで席に座って拓哉の料理を待つとしよう」
可愛らしい子だと思いながら笑顔になるエルドレッド。
「みんなお待たせ。鮭の塩焼きと味噌汁と甘い卵焼きとご飯だ。ラリサとアニカには、あとでプリンってデザートがあるから楽しみにな」
アイテムボックスから料理を出して行く拓哉。
「今日も豪勢だな。懐かしい。火乃国で食べた朝飯に似ているな。早速食べるかな」
昔の記憶を思い出しながら語る。 ラリサも、目を輝かせる。
「おいしそうですね。火乃国ということは、拓哉さんの郷土料理ですか?豪勢です。デザートも楽しみです」
アニカに至っては、初めて見る豪勢な食事に感動しているくらいだ。
「ふわぁおいしそうなの。拓哉お兄ちゃんは凄いの。こんな豪華なご飯食べたことないよ。デザート早く食べたい」
全員が喜んでくれて笑顔になる拓哉。
「そんな喜んでくれたら嬉しいよ。じゃあ頂こう。いただきます」
みんなが一切に! パクッモグモグ
「懐かしい。向こうだと川魚だったが、これは海の魚か?うまさが全然違う。ラリサとアニカとは見た目が違うと思ったが、これは塩のふり加減の違いか。塩辛くて米に合うな」
エルドレッドが海の魚と間違えるほどに、おいしい魚に仕上がっているようだ。
「俺も基本海の魚の方が好きなんだけど、アユって魚を見つけたら食った方がいい。川魚と思えないくらい美味いからな。あとエルの言う通り辛い物好きのエルは辛口に、まだラリサとアニカは幼いから甘塩にして、辛さ控えめで食べやすくしてる」
ちゃんと、人によって変えている拓哉。アニカに辛口を食べさせたら泣くだろうなと思う拓哉。
「拓哉さん卵焼き甘くてふわふわで、濃厚な卵の味がしておいしいです。魚も脂が乗ってて、いつも食べてた痩せた魚とは違います」
普段は汚い池の魚か、流れが悪い汚い川の魚を食べていたラリサ達。
「拓哉お兄ちゃん昨日の卵粥もおいしかったけど、今日のはもっとおいしいの!このスープも、いっぱい具が入ってるよ。卵もあま〜いの」
アニカの可愛らしい子供のような感想に拓哉もエルドレッドもほっこりする。
「おいしいって言ってくれるだけで嬉しいよ。2人ともこれからも、いっぱい色んな料理作るからな期待しろよ」
「はい!楽しみにしてます」 「わ〜い!楽しみなの」
ラリサとアニカが言う。
「そろそろ食べ終わりそうだな。ラリサにアニカこれがプリンだよ」
アイテムボックスからプリンを出す拓哉。 ラリサは、プルプルしているのを不思議そうに見る。 アニカは、すぐに食べる。
「プルプルしてます。初めてみるデザートです」 「あま〜い!おいしいの」
ほっぺたに手を当てて幸せそうな顔をするアニカ。
「えっ!ちょっとアニカもう食べてるの?ん~甘くてプルプルのつるつるで、この茶色のも甘苦くておいしいです」
2人は幸せそうな顔をして蕩けていた。
「うん!女の子にはやっぱりデザートが1番なんだな。エル、こないだのポーションのお礼に、この缶詰を渡しておく。温めてその取手を引いたら中身はそのまま食べれる物だから旅に役立つと思う。何年も日持ちするし、困ったら食べてくれ」
アイテムボックスから缶詰を出して説明する拓哉。
「こんな高級そうな物いいのか?ポーションは俺が使いたくて使ったんだが」
エルドレッドが申し訳なさそうにする。
「気にしなくていい。俺がしたくてしてる礼だから受け取ってくれ」
首を振りながら気にするなという素振りをする拓哉。
「ありがたく受け取る。旅で1番困るのが食事だからな。昼には森を抜けたいし、飯も頂いたからそろそろ行くとするよ。楽しかったし色々世話になった。ありがとう」
頭を下げるエルドレッド。
「もう行くのか...寂しくなるな。でも仕方ないか...気をつけて行けよ。またきてくれ」
名残惜しそうに言う拓哉。
「エルさん本当にありがとうございました。また来てくださいね」
「エルお兄ちゃんありがとう」
店の外まで3人で見送り、最後はお互いに手を振りエルドレッドは「またくる」と言い残し去っていった。
「寂しくなるな...ラリサとアニカに、これからのことと俺の出身の話をしたいから中で、お茶でもしながら話そう」
拓哉はそう言って3人は店に戻る。
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