私のいる場所
田舎のたび猫
第1話 新生活①
「今日からよろしくね、愛姉」
「うん、よろしくね舞」
今年から大学生になった私、天野舞は社会人としてすでに働いている姉の愛姉の家にお世話になることになった。
「舞の部屋は手前のこの部屋を使っていいから。ただ汚くしっぱなしはダメだから、定期的に掃除はしなきゃダメよ」
「うん分かってる」
「ならよし」
愛姉は物静かなタイプで、女の私から見ても美人で学生の頃はものすごくモテていたらしい。
その上勉強もできて東京の有名大学に一発合格している。
私の自慢の姉だ。
ちなみに私はというとこれまでの18年、告白された回数0、付き合った経験なしの非モテ人だ。
またまたついでに妹もいるんだけど、妹は妹でめちゃんこかわいくておそらく何人もの人からの告白を受けているんだろう。
もしかしたら付き合ってる人がいるかもしれない。
まあそんな私が悲しくなる姉妹紹介はここらで一旦お開きとして、私は愛姉から言われた私の部屋を見た。
まだ物が何もなくすっからかんだけど、これからここが私の、私だけの部屋だとするとなんだか感慨深いものがある。
「ここが私だけの部屋…」
「そ、舞だけの部屋よ」
「あ、ありがと」
改めて姉にお礼を言うことに照れてしまったが、それでも感謝の気持ちは伝えたかった。
「そういえば舞の荷物は?後で届く予定なの?」
「ううん。なにも持ってこなかった。私の荷物はこれだけ」
そう言って背中の鞄を示す。
中に入っているのは着替えと大学の必要書類くらい。
「かなりの守破離をやったわね」
「まあね。色々いらないものばかりだったからこの機にね」
「、そっか」
とりあえず荷物を部屋の扉横において、
「他の部屋も見ていい?」
「ええ。私の部屋はダメだけどね」
笑いながら言う愛姉だが、長年一緒に暮らしていた妹の私からすれば、『あ、これガチのやつだ』と感じ、愛姉の部屋へは一歩も近付くまいと心に誓った。
なんやかんや優しいが強い姉だが、怒らせると誰より怖くなるのを知っているから適切な付き合いをしないと恐ろしいことになる。
リビングにキッチンに姉の部屋に私の部屋、もう一部屋空き部屋があるけど愛姉が言うにはそこはまだ使わない物置だとのこと。
「舞ー、とりあえず必要なものもあるだろうからお買い物に行こっか」
「分かった。なら準備してくるね」
「ええ、準備できたら私に声かけてね」
「りょーかい」
私の部屋においた鞄から必要なものをいくつか取りだし、手早く用意を済ませ愛姉と一緒に外へと出た。
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