世紀末サメ討伐伝ケイイチ

 唐突になんだがサメは世紀末において驚異的な生物であり、あらゆるところにサメはいる。


 恐るべきは戦闘力だけでなく、世紀末と言う世界においての適応力と成長能力である。


 だからサメハンターは戦う。


 サメを倒すために。


 サメの脅威に立ち向かうために。


 

 Side 加藤 佳一


 自称、"海賊のジェシカ"の乱入で戦況は一気にこちらに傾いた。

 

 一見ふざけてるように見えるが腕は確かなようだ。


 次々とピンク色の古き良き小型海賊船の火器や手に持った銃火器、船員らしき二つの影が海賊や近付くパワーローダー、海の化け物を屠っていっている。


(この分だと自分の出番はなさそうだな・・・・・・)


 などと思っていた。

 

 だが現実は違った。


 奴が現れた。


 サメの化け物だ。


 それ事態はまだいい。


 サメの化け物はここでは珍しくはない。


 だが問題なのはサイズとその容姿だ。


 その姿は確かにサメであった。

 

 だが赤い瞳で頭部の頂点に三連装の三角形の太砲、や背中に二連装の大砲をのっけった巨大なサメ――大体十トンぐらいのトラックサイズでなければ――


 なんだこのサメ?


 サイボーグシャークか?


『こんなところにまだあんなサメが!!』


『クソ!! アレはサメの変位種か!! 気をつけろ!!』


『サメハンターとしての使命を果たさねば!!』

。   

 サメハンターと思わしき人々が何やら最大限の警戒態勢を向けている。

 事実新たに現れたサメは敵味方とか構わず次々と襲い掛かっている。


 脅威であることは間違いない。

 だがアレはサメなのか?

 なんか違う世界から迷い込んだ感があるが――俺みたいにマジでそんな感じなのだろうか・・・・・・


『うぉおおおおおおおおお!!』


『サメだ!! チェンソーを持ってこい!!』


『クソ!! あのサメはヤバイ!! 腕に自信がない奴は下がっていろ!!』


 そしてサメハンター達は次々と戦闘態勢に入る。


『なあケイイチ。サメってそんなにヤバイ生物なのか?』


 戦車の中からマヤが呆れたような、困惑したような口調で尋ねる。

 ナナも「と、とても恐ろしい存在なんだね、サメって――」などと変な誤解が・・・・・・いや、この世界では冗談抜きでそうかもしれない。


『グハッ!?』


『このサメ!! 強い!!』


 などと思っているウチに次々とサメハンターが返り討ちに遭っていく。


『ここはジェシカ様にお任せだよ!! ステキな海賊はサメだって倒しちゃうんだから!!』 


 などと言いながらピンク色の海賊船でサメに挑むジェシカ。

 サイズ差はあまりないが――あのサメ、皮膚はなにで出来ているのかあまりダメージが通ってないように思える。


『あーもうなんなのよこの状況!? なにこのサメ!? 海賊が暴れてるんじゃなかったの!?』


 アマシロ・リエ――確かレジスタンスと名乗った流線的なフォルムの白いパワーローダーが空中を飛びながら現れるが困惑しつつ攻撃しているがこちらの攻撃もあまり効いてないようだった。


 逆に背中のニ連装の大砲の砲火に晒されるが上手く回避している。


 状況は均衡しているがどうなるか分からない。


 自分はどうするべきかと?


『ケイイチ!! 船に乗って!!』


 と、思っているとどこからともなくスピーカーから俺の名を呼ぶ声が。

 そしてアーニャがボートを回してきた。

 たぶん元は軍用のボートなのだろう。


『お願い!! 力を貸して欲しいの!!』

  

 と、少女――アーニャに涙目でお願いされる。

 正直言うとあのサメにはあまり関わりたくないが――


『はぁ・・・・・・報酬は弾んでもらうぞ――』


 と承諾した。

 マヤが『気をつけてな、ケイイチ』といい、ナナも『が、頑張ってね!!』応援してくれた。

 

 俺はパワーローダーを着たままボートに乗ってすぐさま発進する。

 

『ボートの後部に武器はあるからそれを使って!!』


『ええと・・・・・・』 


 木の棒とかドラム缶とかないかなとか思いつつも武器を漁る。

 強力そうな大型銃などの武器は沢山あるがなんとなくあのサメには通じなさそうに感じた。

 

 だからと言って何もしないワケにもいかない。

 海賊は逃走。

 他の海の化け物も食われてサメハンターも劣勢。

 アーミーズシティの人々も状況を把握出来ていないのか連携が上手く取れてない。


 なんだこのB級映画を通り越してC級だかZ級だかの状況は。


 なんで俺は世紀末まで来て、頭のネジが緩んだクソ映画監督が思いついたような化け物と戦わないといけないんだ。


『こっちに来た!!』


 案の定、口を大きく開けて突っ込んでくる。

 俺はグレネードらしき物を沢山持ってそのままデタラメに口めがけて投げ込んだ。


 そうして――大爆発。

 

 サメのパーツらしき物が爆煙の中から吹き飛んできた。


 やはり体内が弱点だったか―― 


『って、まだ生きてるのかよ!?』


 火器は無くなったが全身は火花を散らし、右目と左のフカヒレが無くなったが恐ろしさが倍増している。


 ここからが本番じゃと言わんばかりに此方をにらみ付ける。


『ここで海賊ジェシカ様の登場!!』


『ジェシカ!?』


 アーニャも『ジェシカ姉ちゃん!?』と反応した。

 サメに猛スピードで体当たりをかます。

 そのままゼロ距離での殴り合い。


 ピンク色の海賊船VSサメの死闘が始まった。


『アーニャ!! 危険だが今しかない!! あのサメに出来る限り近付いてくれ!!』


『う、うん!!』


 俺も腹を決めてチェーンソーを持ち、激しい死闘を繰り広げている両者に割って入るように――サメの頭に飛び乗り、たぶん装甲目標用のチェーンソーを頭部に突き立てた。


(本当、自分なにやってるんだろうな・・・・・・)


 などと思いながら暴れ回るサメにチェーンソーを突き立てる。

 他のパワーローダーを身に纏ったサメハンター達も、彼方此方にチェーンソーを突き立てていく。

 


 結局あのサメはなんだったんだ。

 サメハンターの人達や軍艦街の人達に物凄く感謝されたけど。


 サメハンターの人達曰く、「近年希に見る強敵だった」らしい。


 んで現在アーニャとその親友、海賊のジェシカを含めて祝勝会の真っ最中だ。


 アーミズシティの人達は困惑している。


 マヤもそんな感じだ。

 

 ナナはサメハンターの人達にあれこれとサメのことについて聞いている。

 なんか変な影響受けないか心配だ。


「ふーん、アンタがホープタウンから来た遣いのね? まだまだ日は浅いけど噂は広まってるよ」


 まあそれはそうと現在海賊のジェシカに絡まれている。

 ピンク髪のアニメ的なミニスカ海賊のハイクオリティなコスプレをしている感が強いが実力の程は先程見ているので馬鹿には出来ない。


「この町も守ってくれたみたいだしね。それにサメハンターの人達に認められてるなんて凄いね」


「褒めてもらえるのは嬉しいけどサメハンターってなんなんだ?」


「サメハンターって言うのはただ単にサメの化け物を狩る人達じゃなくて今日みたいな化け物のようなサメを狩る人達の勲章なのよ。サメは海だけでなく、色んな場所に現れるからね。嘘か本当かは知らないけど宇宙と言うところからもやってくるらしいし」


「あ・・・・・・ああ・・・・・・」


 どうなってんだこの世界のサメ。

 ウォーバイソンとかフロンティア以上にやばいのでは・・・・・・



 祝勝会も収まり、ふと俺はある女性に出会った。


 最大限の警戒をしながら人気のない場所まで移動し、改めて対面する。


 ショートの黒髪で褐色肌の大人の女性。


 綺麗に整った服装。


 黒いミニスカドレスで胸の谷間や足の太もものラインをさらけ出し、銀色のコートを身に纏っている。


 足も白いブーツでお洒落に決めている。


 後ろにはアニメに出てきそうな白いレオタード型パイロットスーツに身を包んだやや近寄りがたい雰囲気を持つ金髪の美少女がいる。

 あと胸が大きい。

 

「私の名はリタ。まあフロンティアの人間よ。こっちの子はアマシロ・リエ――白い空飛ぶパワーローダーの装着者よ」


 と、褐色肌の大人の美女は言った。


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