AI手術〔SFホラー〕

 世界初のAIが最初から最後まで処術可能な手術オペ技術が完成して、その手術日。


 人類初のAI手術を受けるコトになった女性が、少し不安そうな表情で主治医に訊ねた。

「大丈夫でしょうか?」

「なにも心配するコトはありませんよ、初期段階の垂腸炎……盲腸ですから切除は眠っている間に終わってしまいます」


 時を同じくして、奇しくもAIプログラムで家畜の屠殺を無人で行う、研究を続けてきた『自動屠殺食肉解体装置』の始動日だった。

「今まで食肉業界は、家畜の屠殺者の人手不足……加えて屠殺現場の職員ストレスの問題を抱えてきました……この開発された装置の導入は、それらの問題は一気に解決します」


 AI手術オペ装置と、AI屠殺食肉解体装置──プログラム開発に関わったのは。偶然にも同じ系列の企業だった。


 そして、同時刻に麻酔で眠らされた女性と、電撃で気絶させられた家畜の【AI手術とAI屠殺】が開始された。


 小一時間後──肉牛の盲腸は無事に摘出され。


 女性のAI手術を見学していた医師や女性看護師たちの、パニックになった悲鳴が病院内に響き渡った。


【説明】AIはプログラムに従って作業をする、ミスはしない。

AI操作をする人間の側が、ミスをしない限りは完璧に実行する。

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