薄荷飴の香りに寄せて

折原ひつじ

アニメ本編の概要

【タイトル】

光陰のコールドゥロン


【概要】

 調理器具メーカーである「キューピッド」が商品販促のために作ったホビーアニメ。2018年〜2019年にかけて放送されていた。全50話。

 魔法の電気圧力鍋・マジコイリでバトルをする「コイリスト」の少年少女たちの成長物語。作中に出てきた料理を再現した「#マジコイリ飯」が一時期SNSを賑わせていた。特に父親との思い出の料理である角煮丼は圧力鍋で簡単に調理できることもあって、SNSの該当タグが茶色に染まったなどの伝説も残されている。

 ホビーアニメものとして紹介されているものの、後半になるにつれてヒロインの闇堕ちや親世代の確執、ライバルの家族が機能不全であったことが判明したりなど陰のある描写が増えていくのが特徴。

 特に黒幕であるクピドー社の社長・金鞠アロウと主人公たちの前に敵として立ちはばかる「謎の仮面の少年・ヴェルグ」こと主人公の父親・シュウヤの間のいわゆる「クソデカ感情」は大きな話題を呼んだ。

 また「ライバル×ヒーロー」「ヒーロー×ヒロイン」「サブヒロイン×ヒロイン」「サブヒーロー×ヒロイン」「ライバル×サブヒーロー」…などCP要素が各所に散りばめられている上、サブヒロインが「褐色吊り目短髪男装巨乳オレ女子」という詰め込み具合から男性向け・女性向け問わず二次創作という観点においても人気の作品である。

 マジコイリを模したオリジナルモデル電気圧力鍋やストラップなども一時期販売していた。


【キャラクター】

・光岡ルート

 ヒーロー。13歳。明るく活発で屈託のない少年。その一方で過去のトラウマのせいでマジコイリに触れることのできない悩みを持っていた。

 幼馴染のめるかの励ましもあってコイリストへの道を進み始めたことにより、さまざまな出会いを経て成長してゆく。

 料理からは長らく離れていたがコイリストとして生きる内に少しずつ腕が上達していき、最近の目標は父よりも美味しい角煮丼を作る事。

 

・幕島めるか

 幼馴染。ルートの世話をよく焼くお料理上手な13歳。分け隔てなく優しく穏やかな少女だが芯の部分は真っ直ぐ強く、そのひたむきさに惹かれる者も多い。ルートたちコイリストのサポーターとして活躍する。

 作中で「戦わないと彼らの輪に入れないのではないか」という孤独につけ入られ闇の力に落ちたが「戦うこと」だけが「守ること」ではないと知り改めてサポーターとしての成長を見せる。

 ルートへの好意は幼馴染としてのものか、それとも……


・楠木原オーエン

 ルートたちが通う学園の王子様的存在。実際育ちの良いお坊ちゃんでその知識や礼節でルートたちを助けることも。

 普段は紳士的な行動を心がけ上品な微笑みをたやさないものの、バトルに熱中すると歯を見せる男らしい笑みを浮かべる一面も持ち合わせた14歳の少年。

 幼い頃に義母からもらったマジコイリを壊してしまった経験からもう二度と大事なものを作らないと決めて心を閉ざして生きてきたが、ルートたちとの出会いを経て少しずつその頑なな心が解き解されてゆく。

 そしてマジコイリのパワーアップイベントを経て義母との間の誤解を解き、心晴れやかに生きるようになった。

 

・石川ファリア

 フランスからの転校生。14歳。めるかに一目惚れをしてことあるごとに求婚をする浮ついた人物であるものの、コイリバトルの腕はピカイチ。恋のライバルとして定めたルートを自身の好敵手に相応しい男にするべく鍛えてくれる心優しい一面もある。

 しかしその正体は本国にいる弟との溝を埋める為、時を巻き戻そうとする金鞠社長に手を貸すスパイ。ルートたちとの友情に揺れつつめるかと共にいる為に彼女を攫うものの、自分が好きだった彼女の笑顔はこんな自分には向けてもらえないと気づき彼女の覚醒に手を貸す。

 なんでもそつなくこなせる為に要領の悪い弟の気持ちが分からずにギクシャクとしていたものの、失恋を経てはじめて悔しさや悲しさを知ったファリアはようやく弟と向き合う事が出来た。

 

・瀬田クラン

 褐色肌の目立つ男装不良少女。普段は学ランを着用しており服装検査の際はズル休みをしていたが、ルートたちとの約束を守る為に仕方なく女子制服を着用して登校し性別が判明した。未だに性別を知らないクラスメイトも多いほど男らしく少々粗野な面もある13歳。

 かっこよさを追い求めるせいで自身の性別に悩みを抱いていたが、めるかと接する内にかっこよさとは見た目だけではないと理解しそれからは男女関係なく自身の好きな振る舞いや格好をするようになった。

 男兄弟に挟まれて育ち、自身も男友達とつるんでばかりだったので少々女子に免疫なし。


・金鞠アロウ

 マジコイリを販売する会社の社長。俳優顔負けのルックスとカリスマを持つ人物であるが、裏では自身の目的のための犠牲も問わないエゴイスト。

 恋人であるレアの死、彼女を甦らせようとする実験の果てに親友であるシュウヤを子どもにしてしまったことによる負い目を常に感じており、情緒不安定で繊細な一面も。

 ヴェルグを見るとその後悔の念に苛まれることから彼に仮面をつけさせており、本当はもう解放した方がいいと思いつつも彼から家族を奪ったままではいられないと自身を騙してマジコイリの研究を続けている。本当はもう彼がいないと立っていられないからだと頭のどこかで気づいている。


・光岡シュウヤ

 ルートの父。世話焼きで朗らかな男性であり、得意料理は角煮丼。

 家族を愛する優しい父親であり数年前にマジコイリの実験に巻き込まれて死亡した……と思われていたが、記憶を失った彼はヴェルグという少年として生きていた。身体年齢は現在11歳ほど。

 恋人を失い自暴自棄となって時を巻き戻そうと危険な実験を繰り返す親友を止めようとして実験に巻き込まれ自身が少年に若返ってしまったのである。

 感情が乏しくクールで冷酷な性格。その一方で一度心を許した者にはとことん甘い。

 自身を拾った(と思っていた)アロウに恩義や情を感じており、情緒不安定な彼を支えたいと願っており、事あるごとに「お前のためなら俺はなんだってしてやる」と自身に言い聞かせるように口にしている。アロウに捨てられたら自身の存在証明ができなくなるのでそういう意味でも依存がちな面も。

料理は苦手ではないが、作っているとなんだか胸がざわつくのであまり普段は料理をしたがらない。特に角煮丼は大の苦手。

 またハッカ飴を常に持ち歩いており、好きというわけではないがないと落ち着かない模様。

 アロウの手駒として生きることが彼のためになると信じていたが、ルートたちが友情を深めているのを見ている内に少しずつ自身の行動に疑問を感じはじめ「自分はアロウの友達になりたい」と気づいた末に彼を救うために命をかけて彼との戦いに挑む。

 最後は記憶を取り戻し、ヴェルグとしての人格は眠りについた。本編終了後には妻や子と一緒に料理を楽しみ、作ったお弁当を不摂生になりがちなアロウの元に届けるなど彼なりの生活を楽しんでいるようだ。

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