第6話

「で、どこ行くの?」

神竜しんりゅうさんの洞窟から出た私たちは、次どこに行くかという会議を、近くの喫茶店でしていた。

「そうですね…。」

正直、早く次の四竜さんの所に行きたい。

でも、中々それどころではない気がする。

神竜しんりゅうさんを連れている以上、変な動きは出来ない気がするのだ。

「…神竜しんりゅうさんって、その人間の姿、外に出したことあります?」

それが一番の問題だ。

もし普通に人間の姿がバレてるなら、色々と出歩いたり目立ったり出来ない。

「いや、人間の姿は全然出してないわよ。普段帝国騎士団とかの相手する時も、いつも龍の姿でしてるわよ。そっちの方がイメージ的にいいかと思って、そうしてるのよね。私って気が利くでしょ~?」

神竜しんりゅうさんはニコニコ笑顔で言う。

「まあ、それなら良かったです。人間の姿が広まってると身動きが取りづらいので、そっちの方が都合がいいですね。」

私は慣れない敬語で、少し感情が抜け落ちたような声になりながらも喋る。

聖女やってた頃も、一応王様だからバカ王には敬語を頑張って使っていたけど、少しでも気を抜くと敬語が出てこなくなる。

「あら、そうかしら?そんなに心配しなくてもいいと思うのだけど…。」

神竜しんりゅうさんは能天気にほのぼのしている。

「いや、ダメですって。そもそも私はそんなに力つけるべき人間じゃないんですよ。立ち位置的に。力をつけるべきは、あのバカ王とかなんですよ。」

私はただの聖女なのだ。

しかも白銀プラチナ

これ以上力を持ってどうするというのか。

その時だった。


ドゴォォォォンッ


爆発…音?

らしき音が聞こえた。

最初の音に続くようにして、同じ音が聞こえてくる。

「あら、何かしら?」

神竜しんりゅうさんは分かっているような感じで聞いてくる。

「分かってるのに聞かないでください。」

「分からないから聞いてるのよ~♪」

爆撃の音と悲鳴が響く中でも、神竜しんりゅうさんはニコニコしている。

慣れてるんだろう。

戦争だらけの昔の世界から生きているのだから。

「どんなところが攻め込んできているのかしら?」

神竜しんりゅうさんはほのぼのした空気のまま、外に出ていく。

この人の空気というか、性格が読めないな…。

神竜しんりゅうさんに付いて行き、外に出た。


そこは、地獄のようだった。


阿鼻叫喚あびきょうかん

空襲爆撃くうしゅうばくげき

悲鳴。

怒号どごう

何処かで聞いた昔の世界と、重なった。

守らなきゃ。

本能的にそう思った。

聖女のさが、ってやつ?

なんか、そんな感じ。

でも、今更あのバカ王たちを守る気はないので、私は、こうした。


「我が力よ、私の望むままに姿を変えよ。け。


――守護者ガーディアン 勇者ブレイブ


 






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