世界最強の四竜を捕まえて来いと言われました

黒白ノ巫女

第1話

「聖女シエラよ。お主に折り入って頼みがある。」

突然国王に呼び出されたと思ったら、かなり神妙しんみょうな顔でそう言われた。

何かと思って首をかしげる。

すると、国王はとんでもないことを言い出した。

「お主に、四竜しりゅうを仲間にし、ここへ連れてきて欲しいのだ。聖女のお主にならば、簡単だろう?」

…何言ってんだこのジジイ。

本当ほんとにとんでもないことを言われて、私は思わず固まった。

それと同時に、心の中で毒づいた。

最悪以外の何物でもない。

「あ、あの、でも、この国の守護って、どうす――」

私が反論しようとすると、国王、いや、バカ王は私の声をさえぎった。

「お主が不在の間の守護は、この者に任せる。

―――エレナよ、こちらに参れ。」

「はい、フェリデア様。」

バカ王に呼ばれて出てきたのは、私と同じ、聖女だった。

まぁ、私の代わりにこの国を守るのだから、聖女なのは当然だ。

でも、これはおかしい。バカ王は聖女を見る目もないのか?

「失礼ですが国王様。少しご意見よろしいでしょうか。」

流石にこれには物申したい。

「ん?なんだ?申してみよ。」

「大変申し上げづらいのですが、そちらの聖女の方は、ブロンズランクの方ですよね?この国全体を守るには、少しばかり聖女の力が足りないのではないかと思うのですが…?」

少し、とは言ったけど、全然少しじゃない。

この世界の聖女には、持っている力に応じて聖女認定の時にランクが付けられる。

下から順に、ブロンズシルバーゴールド

そして、規格外の強さを持つ者に与えられる称号が、白銀プラチナ

そして私は、白銀プラチナランクを与えられている。

この国を守るには白銀プラチナのランクが必要。

なぜかって?

この国が世界一広いから。

ランクが高ければ高いほど、能力、つまり国を守ることで言えば、結界の強さ、大きさが大きくなる。

そして、ブロンズではこの国は絶対に守れない。

だって、白銀プラチナとは、天と地ほどの差があるから。

「あのぉ、その方は今までこの国を守護されていた聖女さんですかぁ?」

先ほどバカ王にエレナと呼ばれていた聖女が、突然喋りだした。

「ああ。そうじゃよ。」

バカ王はそれに答える。そして、エレナはバカ王と同じぐらいバカなことを言い出した。

「では、四竜を捕まえるぐらい余裕ですね!!!光輪こうりん白銀プラチナランクの聖女さんの大きさですし!!!」

よし、この聖女はバカ聖女と呼ぼう。バカ王とお似合いのようで。

いくら白銀プラチナランクとはいえ、四竜を捕まえられるわけがない。

誰も捕まえられないから、世界最強と言われているんだ。

私ごときに捕まえられるなら、もう他の白銀プラチナ聖女が捕まえてるだろう。

全く、なんで私こんなバカばっかの国守ってたんだろう…?


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