第6話 トレンドになる文字写真

 漢字仮名交じり文を手書きし、写真に撮って発信する。そんな行為が流行し始めた。略字になじめない中高年層が大半を占めていた。だが、手書きの写真は翻訳するのに手間がかかる。Twitterなど、外国語などの投稿には「翻訳する」というボタンがあるが、写真の文字ではその機能は使えない。台湾人は、それらを翻訳出来ず、そうなると、熱量が減って行く。

 台湾県民は、もう一つ気づいたのだ。せっかく自分達に同調してくれる人達の投稿だから、是非理解したいと思って、日本語を勉強しようと思った。そうなると、仮名文字だけで精一杯。漢字を使った日本語は、送り仮名が難しい。音読みは馴染みがあるが、訓読みまで覚えるとなると大変だ。それならいっそ、仮名だけの文字の方がいい。そう、やっぱり日本語に漢字はない方がいいのではないか、それに気づいてしまったのだ。

 そうして、台湾発の不満の火は下火になっていった。漢字を習わなくなった世代が、SNSの中心世代になって行くにつれ、完全に漢字復活運動は消えた。

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