インド神話のよもやま話
野村カスケ
ジャランダーラ
初めに断っておくと、これは小説でも何でも無い。メモと言っても過言ではないが、ちょっと面白かったので紹介してみたいと思っただけで──まごうことなき、ジャンル「その他」の文章である。
続きを書くかどうかも未知数である。なので、一応完結としておく。
突然だが私はマンガを描いている。その中でインド神話をモチーフにした敵キャラを出すことになり、色々と調べてみた。ネットの中だけだが。
その中で表題にある「ジャランダーラ」という神様がなんか面白かったので、その生涯(エピソード)を紹介したいと言うのが、本作? の主旨である。
本題に入る前に、インド神話の概要と主要人物(キャラ)を説明しておこう。
インド神話はそのまんまではあるが「インドに伝わる神話」で、バラモン教、ヒンドゥー教、仏教に関連している。日本で言う古事記や日本書紀みたいな話が大量にあり、話の大筋や対人…いや、対神関係もころころ変わり、しっちゃかめっちゃかで脈絡がないのは「神話あるある」だと思ってごっそり割愛するが、概ねデーヴァ神族とアスラ神族の争いの話に収束される。
デーヴァは現世利益を司る神々
アスラは倫理と宇宙の法を司る神々
他にも細々と種族(部族?)が登場し、二種類にまたがってる神もいたりして正直よくわからんのだが、内容的にはデーヴァとアスラが争ってるという印象なのである。
でもって、三界(天上、地上、地下)を支配するのが目的らしい。
以下、ジャランダーラのお話に登場する神様を紹介する。
ブラフマー
創造神。宇宙の最高原理。でも抽象的で影が薄くて人気がない。
ヴィシュヌ
維持神。世界の維持を司る神であり、10の姿に変身して世界を救う。
シヴァ
破壊神。一言で言うとかっけぇ不良に憧れる的な。えらい人気がある。
パールヴァティー
シヴァの妻。
インドラ
雷の神。デーヴァ神族の中では古株。結構強いが引き立て役。
スカンダ
軍神。シヴァの息子でつおい。
ガネーシャ
商売の神様。頭が象。人気者。シヴァの息子。パールヴァティーの垢の塊に命を吹き込んだもの…えっ、息子なの?
ヴァルナ
アスラ神族の偉いさん。天空神、司法神、水神、海の神、蛇の神…脈絡がない。
ヴリンダ
ジャランダーラの妻。
さて、前置きが長くなったが本編に入ろう。
インドラ(とモブの神様)がシヴァと喧嘩(意訳)した。シヴァは激おこで第三の目に火がついた。インドラ達は謝ってシヴァはそれを許したけど、第三の目の火は消すことができなかったので海に向かって放り投げた。
すると海から光輝く子供が生まれ(?)た。この子供が主人公である「ジャランダーラ」。つまりは、ジャランダーラはシヴァの分身というか子供というか、なのである。
この子供に凄まじい力を感じた水神ヴァルナは彼を養子にした。一応、シヴァはデーヴァ神族でヴァルナはアスラ神族なのだが、細かい事は気にしないでいただきたい。
創造神ブラフマーもこの子供に関心を持ち、様子を見に行ったら「コイツ凄ぇ」ってなって、将来はヴィシュヌを倒せるくらい強くなると予言した。
成長したジャランダーラはアスラ達の期待を受けてアスラ王となり、ヴリンダを妻にした。繰り返すが本来はデーヴァ神族なはずなんだけど養父がアスラだから問題ないんだろう。
なんだかんだあってアスラとデーヴァは戦争になった。ジャランダーラは強かった。インドラを天界から追放・ヴィシュヌを屈服させ、三界の王になった。
ジャランダーラは結構良い王様だったが、反発する神もいる。彼らの策略? で「パールヴァティーは宇宙一美人やで」と吹き込まれ、シヴァに「嫁さんよこせ」と迫る。コイツ嫁いるんじゃなかったか? まぁ、一夫多妻制だったのかな。
シヴァが受け入れるはずもなく、戦争勃発。
ジャランダーラはガネーシャやスカンダを倒すもシヴァには勝てず、幻術で足止め。その間にパールヴァティーをレイプしようとする。
インド神話では嫁さんは「力の源」であり、これを汚すことでダンナの力を削ぐ事ができる…らしい。
が、未遂で逃げられる。
パールヴァティーは激おこで、ヴィシュヌに助けを求めた。
やられたらやり返す(犯られてない)、ヴィシュヌにヴリンダを犯すよう持ちかける。
ヴィシュヌはジャランダーラに化けてヴリンダと一夜を共にする。実行するんか。持ちかける方も実行する方も大概だな。
ヴィシュヌはいたした後で正体を見せ、ヴリンダ激おこ。ヴィシュヌを呪って自殺した。
ジャランダーラもシヴァも疲れてもうあんま戦う気はなかったけど、じゃあやめとけよって思うんだけど戦いを続ける。何故。
最終的にはシヴァがジャランダーラを首ちょんぱして決着。
ジャランダーラの魂はシヴァのもとに戻り、先に死んだブリンダの魂はパールヴァティーの中に入っていった。←(!?)
強大なアスラ王が斃れた事で神々は歓喜したが、シヴァは「お前達のために私は自分の分身を殺した」と皮肉った。
不甲斐ない神々が悪辣な策略に頼ってシヴァに息子殺しをさせたことを見抜いていたからであるという。
おしまい。
この神話は、シヴァのエピソード集に入ってるらしいのでジャランダーラは独立した神というよりシヴァの一部といった見方の方が正しいのかもしれない。
シヴァは最後にかっこよさげな、教訓めいた事を言っているが元を正せば…感が半端ない。
こういった、我儘で身勝手で自由奔放で欲望に忠実な、神様らしくない神様がインド神話の魅力なのかもしれない。
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