第20話 真鯛のポワレ
今夜は丸の内の某フレンチレストランを私が予約した。窓越しにビル群を望むも入店した印象としては思ってたよりもカジュアルだった。
本日の主役が仕事で遅れていたので、お先におつかれ生ビールしていて待っていた。
やっと到着して、いよいよ乾杯スパークリングからのコース料理が運ばれてくる。
前菜二品、伊勢海老と季節の野菜のテリーヌなど彩りも豊かで夏らしく涼しげな皿を頂き、和やかに宴は進む。グラスワインを注文するも来るはずのワインが来ない、スタッフ間の伝達の悪さが伺える。
魚料理の真鯛のポワレがきた!
「色々な食材でスープを取ってます」と何故かこの料理だけ説明があった。
肉厚の真鯛はスープと絡みとても美味しい。
ただ、スプーンがないのですくえない。
「パンをスープに吸わせて食べるんだよ」とミシェルがにこにこ顔で教えてくれる。
これなら美味しくスープもパンもいただけるもパンが小さくて足りない…
スタッフに新しいパンをお願いした。
まだかな〜とパン待ちをしていると
「おさげします」
あっけなく、スープ入りのお皿は下げられた。
その瞬間をお迎えの席の主役は見逃さなかった。モノマネ付きで再現する。
とても寂しそうに下げられてくお皿を見つめるミシェル。でもスープが残ってることを言えずに現実を受け止めざるおえない子供のような眼差しでスープを無言で見つめて
さよなら、私のスープ…
次の瞬間、私に
「早くスプーンを頼んでくれたらよかったのに」
「もっと早くパンを頼んでくれたら良かったのに」まるで唯をこねる子供のように言ってきたのである。
そうか、私はあの時に北の国からの五郎さんの名シーンの台詞「まだ子供が食ってる途中しょうが!」と言えば良かったのだ。
そんな気の効いたことも言えずに…私はただただ爆笑!!!
しばらくするとメイン肉料理こ冷め切ったTボーンステーキが運ばれてくる。3品から選べたのだが期待外れで残念。
デザートのメロンスイーツは美味しかった。
「一番真鯛のポワレが美味しかったね」と笑顔なミシェル…
食べ物恨みは恐ろしいですね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます