ノリと勢いで始まる同居生活、彼女付き。

紗倉 伊織

第1話

4月の夕暮れ時。

旧館の奥の教室に、男子が1人、女子が1人いた。


「櫻葉 優馬くん!好きです!付き合ってください!!」

「沙野 詩織さん!俺も好きです!喜んで付き合います!!」


なぜ二人ともがフルネームを呼び合ったのかわからないが、多分きっとそう、テンパってたのだろう。

まぁとりあえず、ここでもリア充がまた1組、増えたのであった。



「ゆーまくん、手、繋がない?」

「いいよ詩織ちゃん」


まるで長い時間が経っているような雰囲気だが、実際は付き合って10分、会話は今日が3回目である。

恐ろしいレベルで距離が縮まっていた。


「詩織ちゃん今日はもう帰る?」

「んー、ゆーまくんが帰りたいなら帰るよ?」

「ん、じゃあどっか寄る?」

「分かったー、どこ行くー?」

「詩織ちゃん好きな食べ物ある?」

「んー、パフェ!」

「じゃあカフェかどっか行こうか」

「わーい!」


リア充しまくっている。

なんならさっきまで手を繋いでいただけなのに気がつけば腕を絡ませている。

よくいるリア充よりだいぶ早いスピードで進行している。


周りの目なんて気にしない。そんなスタイルだ。



「ねぇ見てみてゆーまくん!!めっちゃおっきい!」

「ほんとだね!いちごパフェ?」

「いちごとラズベリーのパフェ!」

「え、何それ美味しそう」

「そういうゆーまくんのミルクレープも美味しそう!」

「食べる?」

「食べる!!」


口移しをしあう二人。

けしからん。


「美味しいね!」

「うん、超うまい」


ずっとニコニコしながらいちゃつく二人。

女性店員は、


(はぁ。爆ぜないかな。学生満喫しやがって。早く別れろ早く別れろ。神様は鬼なのかなぁ。21歳で彼氏も彼女もいないなんてさぁ)


だいぶ精神的にダメージを受けているようである。

それはそうだろう。

こんなにリア充旋風巻き起こしよって周りの客、店員、そしてパティシエ歴22年、彼女いない歴43年、今年43歳の店主へのダメージが計り知れない。

このパティシエ歴22年、彼女いない歴43年、今年43歳の店主の心境は、


(そうかそうか美味しいか!!よかったよかった!!でもさぁ!!リア充ですオーラ全開でくるのだけはやめてほしいよ!?傷つくから!!傷ついちゃうから!!早く帰りたい!!!!!!!)


メンタルボロボロだった。

確かに、客を見てみると、女子高生のグループ、OLさん、サラリーマンといった、リア充感出してない人たちだ。OLさんは結婚指輪しているが。

訂正、女子高生グループ(2×2)も、ダブルデートみたいな雰囲気だった。


「おいしかったね!!ごちそうさまでした!!」

「美味しかった。ごちそうさまでした」

「はい………またのお越しを………お待ちしておりません………」


女性店員の悲痛な声は、店主にしか響かなかった。







お久しぶりです紗倉 伊織です。

自分の大好物の同棲系高校生ラブコメをリハビリにします。

予定では来年の3月いっぱいです。

人気が出るか自分がテンション上がってれば社会人編突入する可能性ありです。

見たい方は色んな人に紹介してくれてもいいんですよ??

ではまた次回!!

See you again soon!!

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ノリと勢いで始まる同居生活、彼女付き。 紗倉 伊織 @nekoiesakura

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