第55話 詰んだんじゃないの~☆
拝啓、前世の両親へ。親というものは子のことが可愛くてしょうがないのでしょうか?昨今では親ガチャならぬ『子ガチャ』なる言葉も出来ているそうです。心の底から子の事を愛していれば、このような言葉は生まれてこないはずではないでしょうか。ただ、行き過ぎた愛も色々と問題になりますよね。故に私は何事も程々が一番と真理に辿り着きました。
学園で文化祭の準備が順調に進み、屋敷でカーミンを除くいつメンでお茶をしていたところ、カーミンが屋敷を出てから3日で帰ってきた。その気になれば日帰りになるような距離なのになんでそんなに時間が掛かったのだろう?
「ただいま帰りましたよ。無事手紙を届けてきましたよ。」
「おうおう、おかえり~遅かったじゃん。どこで油売ってたの?」
「ガブリエル伯爵邸本邸と鉄蛾団のウラアーリ侯爵領支部に行ってましたよ。まさかここまで時間が掛かるとは思ってもいなかったですけど。」
「それで何か耳よりの情報はあったのでしょうか?」
「そう焦るなって、というかウラアーリの事より重要かつ緊急性の高い情報を持ってきましたよ。」
ほう、それは上々だな。してそのような情報とは如何なものなのだろうか?我々はその謎を解明すべく、アマゾンの奥地へと入った。
「なんと!明日!ガブリエル伯爵夫妻が王都に到着予定だそうです!わーパチパチ~」
……へ?
「目的は皇女殿下の件を聞きに来る&娘の文化祭に乗り込むのだそうですよ。因みに執事長直々に教えてもらった情報なので間違いないです。」
ほぇ~執事長って会ったこと無いんだよな~どんな人なんだろうな~(現実逃避)
「…ちなみにお嬢、私達帝国の件はどのぐらい伝えているの?」
「……全く伝えてません。多分王都から情報が流れて初めて知ったんだと思います…」
うわっ…私達親に手紙出さなすぎ…?
「…ふぅ、とりあえず…詰んだ?」
「詰みました」
「お姉ちゃん…」
「来世に期待します。」
「詰んだんじゃないの~☆」
おい!お嬢とカーミンふざけすぎだぞ!特にカーミン!お前コ〇クカ〇サキマイクロビキニ部にぶち込むぞ!
「はい、では打開案の募集です。みんなの知恵を振り絞りましょう」
「無理です」
「無理じゃない?」
「お姉ちゃん…」
「お疲れ様ですご臨終。」
「おいカーミン、お前はちょくちょくネタを挟まないとやってられないのか。」
「ねえフルール、鏡っていう道具を知ってる? ピカピカで自分の顔が映るやつなんだけど…」
お嬢の言葉で耳が痛い…チックショー!
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結局あの後5人で知恵を振り絞り会話デッキ&帝国の設定を作り上げた。無から設定を作り上げなきゃいけなかったから、正直言ってめちゃめちゃ大変だった。
(作)ふっふ~ん、ようやく私の大変さに気づいたようだな。ほれほれ、なにか言うべきことあるだろう?
うるせぇ、黙れ。貴様は好き好んでやっているだろう。一緒にするでない。
(作)ふーん、そういうこと言っちゃうんだ。いいもん、フルールの最後はとびっきり無残な死に方にしてやるんだからね!
すみません、私が悪かったです。平にご容赦を…
(作)そうだよ、もっと私を敬いなさい。
自分で考えたキャラに敬わられて…楽しいの?
(作)……虚しい。って話そらしすぎたヤベッ。オチも見つからないし…それじゃあ、アデュー
さてと、邪魔者はいなくなったし閑話休題だ。今はいつガブリエル伯爵夫妻が来てもいいように玄関で待機している。格好はお嬢は屋敷に居るときの普段着である薄紫の軽いドレス。私&あーちゃんは新型のメイド服、『試作型クラシカル風メイド服type01』を着ている。と言っても腰のベルトで帯剣できて、暗器を仕込めるだけの普通のクラシカルメイド服だ。アメリアとカーミンはいつも通りのこの世界でオーソドックスなストレンド型メイド服だ。
ストレンド型メイド服とはマルメア王国の北西にあるストレンド王国発祥のメイド服だ。黒を基調とし、白い前掛けをスカートの裾すれすれまで伸ばたメイド服だ。
「そういえばお嬢、ご両親はどんな感じの人なんでしょうか?」
「…その…少し…いえ、かなり子煩悩な人たちです…」
ブランは身内の恥を晒していいのかと思い少し言い淀んだ。
「あー…うちと一緒ですね。私の場合は前世と今世両方ですけど。」
「お互い苦労しますね。」
「だね」
雑談しながら待つこと1時間、午前10時頃にガブリエル伯爵両親が屋敷に着いた。フルール、緊張の一瞬である。
「ブランちゅぅあああん!愛しのパパがやってきたよ!」
…知ってた。もうねこの世界の親ほとんど子煩悩なんじゃないかレベルですよ。いや、私の周りが多いだけかも知れない。ほら類は友を呼ぶなんて言うし…
「ちょっとお父様!いい加減恥ずかしいからやめてください。それに一応他国の皇女の前でそれはやめてください!」
「一応って…お嬢酷くない?人格と性癖以外すべてが完璧な誰もがかしずきたくなる皇女様ですよ…っと自己紹介を。こほん、初めまして、ジャポニカ帝国第一皇女フルール・ヤマト・ジャポニカです。」
「妹の第二皇女のアストライヤ・スズカ・ジャポニカです。姉ともどもよろしくお願いします。」
「ほう、貴様らがブランちゃんにつく悪い虫か。ぶっ殺してやる!」
なんでぇ?私悪い皇女じゃないよ。
「はいはい、少しおいたが過ぎるわよ、あなた。ご丁寧にどうも、私はガブリエル伯爵夫人のイザベラ=ガブリエルよ。この人はオケアノス=ガブリエルよ。」
オケアノス?たしかギリシャ神話の大洋の神の名前だっけ?神か大天使なのかどっちなんだい!
「はは…その…活力があっていいですね。」
アストライヤ必死にひねり出した誉め言葉である。
「む?そうかそれはそうと事情を説明してもらうぞ!私の可愛い可愛い可愛い可愛すぎるブランちゃんに危害を加えてないかどうかをな!」
この人一体全体どんな情報を聞いたのか?不思議だ。全くお嬢にはこれっぽっちも手を出せていないのに。←(作)公衆の面前で半ば好意を寄せていることを隠しもせず、ほぼ国王公認になったことは無意識に頭から除外してます。
「ええ、気が済むまでじっくりと説明させて頂きます。」
次回予告(エ〇ァのBGM流しながら)
唐突にやってきたブランのご両親。フルールは保身のためにさらなる嘘を重ね、その嘘はミルフィーユのように積み重なっていた。フルールは無事嘘を貫き通せるのか!?
次回 暴かれる帝国の謎
次回も見てくれよな。
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