第106話 おれつえええー

 視聴者に散々バカにされたのでコメントを閉じ、残りの魔物達を討伐していくことにした。


 スキルの持ち主だからこそ理解できる、この強大な力。この力を使えばこんな残党達なんて……。


【操土の神】


 倒したことのある生物に限るだとか、〇〇ランクまでの魔物に限るだとか、そもそも魔物だけとか。そんなことに囚われることをやめた俺のスキルは、はっきり言って最強だ。


 自然現象に変化することだって、人に変化することだって、自分の想像上の神にだって変化できる。


 今俺が想像したのは、この世に存在する全ての土を掌握するような土の神。


 見た目は歪で乾燥していて、土砂を纏う土の獅子。めちゃくちゃに醜い姿だが、それで……それがいい。


『うひょー!』

『やっぱこれだわ、まじかっけえ』

『おまいら手のひらグルングルンですやん

『しゃあないやろアホなのは事実』

『にしても、魔物じゃなくても変化できるようになったってのはほんとみたいだな。こんな魔物見たことない』

『うむ、全ての魔物を知るこの我、魔物博士マスター様でもこのような魔物は見たことがない』

『↑誰だよwwwwwwwwww』

『魔物博士マスター様は草』

『流石にパチこくな』


 きっと、今頃コメント欄のみんなも喜んでくれていることだろう。俺にはちょっとわからないが、彼らからしたらこの姿は相当にカッコいいはずだ。


「それじゃあ……」


 想像で作り出した存在なので、能力に制限はない。たとえば、こんなことだってできる。


 歪んだ前足で地面を踏み抜くと、残った魔物全ての足元の土が硬化し、収束し、槍のように魔物を貫く。


 魔物と戦う仲間に一切傷をつけず、周りの建物や地形にも影響を及ぼさず、早く、一撃で全てを仕留める。


 今の俺ならば、こんなとこだって余裕なのだ。正直、キモチヨすぎる。


『やばすきやろwwwwwwwwww』

『ファッ!?wwwwwwwwwwwwwww』

『どうなってる?wチートやろこれ』

『魔物が可哀想』

『魔族史上初の魔物愛護団体ができそう』

『1000くらいいたよね?一撃はやばい』

『やっぱかっけえ』

『こいつしか勝たんねん』

『冷静になったらまだSSが残ってるけど、なんとか平気そうな気がしてきた』

『それな』

『それな』

『でもさ、SS登場遅くね?どんだけ深いの崩壊したダンジョン』

『ダンジョン深すぎてSSさん途中で登ってくるの諦めた説』


 暇を持て余したので再びコメントを表示させるとこんなことが書かれていた。


 たしかに、SSランクの魔物の登場が遅い。これまでの戦闘やらでだいぶ時間をかけてしまっているし、そろそろ出てきてもおかしくないのだが……。


 

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