第98話 風鬼と雷鬼
突如として襲いかかってきた暴風と雷撃を対処し、魔物の気配を探る。
【土蜘蛛の瞳】
感知能力に優れた土蜘蛛の能力を利用するも、敵の存在は感知できず。
しかし、依然として暴風と雷撃は現れ続けヴァリアンを襲った。どうやら、感知から逃れるほどの遠距離から攻撃を仕掛けてきているようだ。
そのためどこに居るのかも分からず、こちらからは攻撃できない。もし、この攻撃の矛先が冒険者達や防壁へ向けば、重大な被害を被る事は間違いないだろう。
早急に対処しなければいけないような、かなり厄介な状況だが……しかし。いつまで経っても、その矛先が冒険者に向くこともなければ防壁に傷をつけることもなく、ただひたすらにヴァリアンへ向かっていた。
「集中狙いか。ありがたいことで」
雷と風による攻撃。とても厄介ではあるものの、攻撃のタイミングも位置も間隔も全てが単調であり、いなす事は容易い。この程度の攻撃であるなら、俺の体にかすめる事すらないだろう。
【炎蜥蜴の尻尾】
俺だけを狙ってくれるならむしろ好都合である。ただひたすら単調に現れ続ける攻撃を交わし、いなし続けながら、付近の魔物へとサラマンダーの尻尾を振り回した。
Sランク魔物の肉体はそれだけで破壊兵器へと変貌する。しなやかに振り抜かれた尻尾に当たると魔物は吹き飛び、先端にできたハンマーのようなコブに当たれば、Aランクの魔物ですら爆散した。
しばらく魔物を狩り続けていると、突如として空が曇った。そして、巨大な魔力が近づいてくる気配を感知した。
「もう痺れを切らしたのか。せっかくのボーナスステージだと思ったのに、少し煽りすぎたか?」
相手の魔物の正体は大体予想がついていたので、こうなることも予想できていた。
攻撃の威力はSランク相当。しかし愚直にヴァリアンだけを攻撃し続ける知能の低さや、サラマンダーが倒されるまで攻撃をしてこなかった傲慢さ。そして、攻撃は雷と風がセット。
これらを鑑みるに、相手は風鬼と雷鬼であると予想していた。最初は風神と雷神なのではと冷や汗をかいたが、神の名がつく魔物がここまで単調な攻撃をしかけてくる筈もない。
短気で知能の低い鬼系魔物である風鬼と雷鬼であれば、イライラさせてやればそのうち姿を現すと思っていたのだ。
「しかし、こうも上手く行くとはな。いや、上手く行きすぎか? 結構やばいな、これ」
天候の荒れようを見るに、どうやら鬼さんはブチギレのようである。
大粒の雨を降らせていた積乱雲は更に黒く染まり、渦を巻いていく。そしてそれはやがて、雷を纏う黒い台風となった。
あとがき
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