第84話 銀狼NTRと即落ち2コマ

 現在、俺は鉄狼100匹を引き連れて鉄のダンジョン2階層を駆けていた。


 ダンジョン内に足音という名の轟音が鳴り響き、自然と魔物を引き寄せていく。


 鉄系の魔物が100匹集まると、こんなにすごい足音が鳴るんだな。身体が重いので速度はそこまで速くないが、迫力は相当なものだ。


『ガチで草』

『こんなんモンスタートレインやんけ』

『もし、他の冒険者に会ったらやばいことになりそうwwwwww』

『スタンピートが起きたぁ! とか誤報告されそうで草』

『これはおもろいぞ?wwwww』


 この階層に出てくるのは鉄を纏った猿、アイアンモンキーである。


 足音に引き寄せられてアイアンモンキーがどんどん寄ってくるも、瞬時にアイアンウルフの大群に飲み込まれていく。


 こちらから攻撃などしなくとも、この大群に飲み込まれれば死あるのみ。


 60kgほどの鉄の塊の大群が、そこそこの速度でぶつかりまくってくるのだ。相手も鉄でできているとはいえ、この数には敵うまい。


『鉄猿クソほど可哀想』

『一瞬で殺されていくやん』

『今一瞬見えたけど、群れに飲み込まれた瞬間、ボッコボコに歪んだ鉄の塊が出来上がってた』

『恐ろしい……wwww』

『これ、このまま攻略しちゃうんじゃね?』


 その後も、鉄猿を轢き殺しまくりながら2階を駆け回り、3階へ繋がる道を発見した。


 そして3階、4階、5階と登っていっても、このモンスタートレインに敵う魔物は現れなかった。


 狼たち以外に使役できそうな魔物も出てこないまま13階へ到着すると、俺たちの上位種である銀狼が出現した。


 すると突然、俺に従っていたはずの狼たちは銀狼に従い始めた。それどころか、銀狼に従わない俺に威嚇する始末。


 くそ、わかってはいたが、やはり上位種に取られてしまうのか。この数時間で絆が芽生えたと思っていたのに……。


『wwwwwwwwwwwwwwwwwwwww』

『NTRされててくさ』

『クソワロタwwww』

『まさか、頑張って鉄狼を大量に集めたのが仇になるとはwww』

『え、この縛り自分で攻撃するの禁止なんでしょ?詰んだくね?』

『たしかに、今までの階層で仲間にできそうな奴らもいなかったし』

『ガチ詰みで草』

『どうするんだろう』


 くそ、このクソ狼共め。またこっちのもんにしてやる!


【金狼】


 銅狼より2ランク、銀狼より1ランク上の金狼に変化し、威嚇するように吠えた。


「ガァォォォォォォォォォン」


 我ながらダサい鳴き声ではあるが、こいつらには効果的面のようだ。鉄狼たちは再び手のひらを返してこちらの後ろに付き、先ほどまで俺を威嚇していた銀狼も擦り寄ってくる。


 擦り寄せられた頬が俺の頬に当たって金属音を鳴らした。カンカンと鳴り響いてうるさいので、頭を1発叩いておいた。


『まさかのNTR返し』

『この鉄狼たち相当尻軽やな』

『クソビッ○で草wwwww』

『まさに即落ち2コマ』

『NTRられからのざまぁが早すぎるんよ』

『しかし、これで銀狼たちも仲間できるようになったね』

『戦力増強で草』

『いよいよ、ガチでスタンピートみたいになってきそう』


 この階でも仲間集めに奔走した後、強い敵を求め、ダンジョンを駆け上っていった。



あとがき


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