第81話 毒の続きとケチ
ダンジョン都市に帰ってきてすぐ、毒のダンジョンへと来ていた。
『てか、配信始めるの早すぎだろ』
『それな?昨日まで王都にいたの知ってるぞ』
『配信してくれるのは嬉しいけど、ちゃんと休んでほしい!』
ダンジョンへ入ってすぐに配信を始めると、このようなコメントが沢山届いた。
「あはは、本当はもっと休むつもりだったんですが、ダンジョンに潜りたくなってしまったので仕方ないですよね!」
この言葉に嘘はない。王都での疲労もあるし、本当はもう少しゆっくり休んでから来るつもりだったんだよ。
しかし、早く配信を見たいというコメントが沢山来ているのを目にし、やる気スイッチが入ってしまったのだ。
ベッドから飛び起き、準備した数分後にはダンジョンの外に到着していたくらいにはやる気が入っている。
『ダンジョン中毒で草』
『流石におもろい』
『王都からの旅とか、俺なら1週間は家でゴロゴロするわ』
『てか、今日も毒のダンジョンなんだね!』
「お、よく気づきましたね! 実は、今日も毒のダンジョンに来ています!」
当初、毒のダンジョンに潜り始めたのは金稼ぎのためだったので、目標はもう達成しているんだよな。なので、別のダンジョンに潜ることも考えはした。
しかし、毒属性はまだ倒したことのない魔物が多く、スキル強化も兼ねて潜っているというわけだ。
21階に降りると、早速倒したことのない魔物を発見した。紫電を纏った巨大な蛇の魔物だ。
毒属性ダンジョンで雷……おそらく、麻痺毒を与えてくる魔物だろうな。触れないように遠距離から倒そう。
【火龍】
Bランクの火龍に変化する。今日は攻略速度重視なので、周囲の魔物ごとブレスで一掃してしまおう。
喉の奥から熱い炎が込み上げてくるのでそれを喉に止め、圧縮、圧縮、圧縮。圧縮し切ったところで、一気に放出した。
形作るほど凝縮された炎がレーサーとなり、一帯を焼き払う。
爆音とともに業火が立ち上がり、このエリアに存在する全ての魔物を焼き尽くしていく。
炎は魔物を燃料にさらに燃え上がり、空間が歪むほどの陽炎を作り出した。
『やっべえ』
『強すぎて草』
『素材はちょっと勿体無いけど、こっちの方が爽快感あって気持ちいい!』
『ブレス吐ける人間とかヴァリアンだけやろwww』
『俺の火炎魔法より余裕で強くて泣いた』
『ほんと、各分野でAランク相当の力出せるとか改めて考えるとチートだよな』
『しかも、どんどんファン増えてるし。一年以内にSランクいくやろこれ』
『いやぁ……一年もかかるかすら怪しい』
「いやぁ、やっぱり火属性は気持ちいいですよね! 素材が勿体無いとのコメントを頂いておりますが、今回は攻略速度重視で倒していきますのでご了承ください!」
毒龍の件で金は稼ぎまくったからな。魔物たちを炭に変えながら、どんどん階層を進んでいく。
しかし、やはりすべてを炭に変えてしまうのはもったいなく感じ、途中から各魔物1.2体ずつくらいは無傷で倒すようにしていった。
『ちゃっかり数体ずつ無傷で倒してて草』
『恐ろしく早い手刀』
『いやぁ、ヴァリアンの気持ちわかるわぁ。』
『んね、なんとなくだけどもったいなく感じちゃうんよね』
コメントにもある通り、なんとなくケチの血が騒ぐんだよな。こればっかりは仕方のないことである。
あとがき
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