第65話 Aランクアイテムと人造ゴーレム
飯屋で空腹を満たし、そのままの足でガルフさんの店に来ていた。大量に収入が入ったし、自分へのご褒美にいいアイテムでも買おうかなと思ってのことである。
カランカラン〜♪
ドアを開けると鐘の音が鳴る。前回は鐘の音を聞きつけてガルフさんがやってきたんだったよな。
しばらく待ってみるも、今日は出て来る気配がない。耳を澄ませば話し声が聞こえてくるし、誰かとお話し中みたいだな。
一度出直すことも考えたが、勝手に見させて貰おうかな。
商品に触るときは手袋をつけてから。などのルールをしっかりと守っていれば平気だろう。
早速、アイテムが置いてあるエリアへと足を進める。なんだか、コソコソと歩くと泥棒みたいなので、コツコツとわざと足音を鳴らしながら歩いた。
アイテムエリアに到着し、まず先に見るのはAランクのアイテムだ。
せっかく名声値がAランクになりAランクのアイテムを装備できるようになったので、今日はAランクのアイテムを買おうかなと思っている。
スキルとアイテムの相乗効果の件もあり、いずれは全てのアイテムを手に入れてみたいところではある。
しかし、それを考えるとまだまだお金が足りないところではあるので、ひとまずは実用性があるアイテムを買うことにしたんだよな。
「お、これいいな」
【1つ首ヒュドラの腕輪(A)】
・毒ダメージ150%上昇
・毒持続時間30%上昇
・【毒蛇魔法】スキル付与
これはいいな。珍しい毒属性のアイテムだ。希少なだけあり値段も300万ゴールドと高価ではあるが、手の届かないほどではない。
アイテムの機能もとても魅力的だし、ちょうど毒のダンジョンの攻略を進めているのところなので欲しいと思ってしまった。
攻略を進めていくたびにもっと強い毒属性魔物の力を手に入れられるだろうし、もしかしたら一つ首ヒュドラを見つけて倒すことができるかもしれない。
しかし、このアイテムでもまだまだ上位互換のアイテムが存在するんだよな。いずれランクが上がれば乗り換えることになってしまうだろう。
そう考えると、少しお金がもったいなく感じないこともない。うーん、どうしたものか。
【3つ首ヒュドラのネックレス(S)】
・毒ダメージ200%上昇
・毒持続時間50%上昇
・【毒蛇魔法】スキル付与
・【再生】スキル付与
【9つ首ヒュドラのネックレス(SS)】
・毒ダメージ250%上昇
・毒持続時間80%上昇
・体力50%上昇
・【猛毒蛇魔法】スキル付与
・【超再生】スキル付与
一旦、上位互換のアイテムを2つ見てみた。うん、やはりこちらの方が魅力的だよな。
流石にSランク以上のアイテムは展示されていないが、きっと見た目もこれらの方が魅力的だろう。
値段はそれぞれ2000万ゴールドと8000万ゴールドと恐ろしいくらい高いか、買えない程でもない。
しかし、今買っても装備できないから宝の持ち腐れなんだよな……
「おう、ヴァリアン。何を悩んでやがるんだ?」
あれからしばらくうんうんと唸りながら悩んでいると、ガルフさんが声を掛けてきた。どうやら、お話は終わったようだな。
「あっ、ガルフさんこんにちは。勝手に見てしまってすみません」
この店のシステムをあまり理解していないので、勝手に商品を見たことを一応謝罪しておく。
「あん?そんなの構わねえよ。お前が何かしでかすとも思えんし、この店にもちゃんと防犯システムがあるからな」
片眉を上げてこちらを見た後、店の外の大剣を指差してそう言った。
信頼を得ているようで嬉しく思うと同時、大剣が防犯システムとはどういうことなのだろうという疑問が爆発しそうになった。
「防犯システムって……あの大剣のことですか?」
「おう、あれは斬鉄人間のアイテムや素材を組み合わせて作った人造ゴーレムでな。俺があらかじめNG行為を設定して、こいつを設置しておく。そうすれば、NG行為を行った客を自動で切り刻みに行くんだ」
「え! 人造ゴーレムも作れるんですか?」
「おう、アイテムのことならなんでも任せな」
色々すごい人だとは思っていたが、まさかそんなものまで作れるとは思わなかった。結構最新の技術だったと思うんだけどな。魔界では、割と浸透しているのだろうか。
ここの店はSSランクのアイテムもいくつか購入できるし、流石に凄すぎるだろう。もしかしたら、俺が思っているより相当な実力者なのかもしれない。
例えば、Sランクのみで構成されたパーティーに所属していたとか。元宮廷アイテム技師とか。
それにしても切り刻むって……流石に冗談だとは思うが、この人が言うととても恐ろしいものだ。……冗談だよな?
どうか、この大剣が作動しないことを願うばかりである。
あとがき
本日の投稿、遅れてしまい申し訳ございません。ここ1ヶ月くらいは毎日投稿できていますので、継続できるように努めてまいります!
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