第42話 岩石巨人と素巨人
「1試合目、かなり時間がかかりましたが、無事に勝つことができました!」
『いぇーい』
『やるぅ』
『相手の体がジワジワ凍っていく感じ、たまらんかった』
『Fランクモンスター単体でも勝てるのね』
『それな。流石だった』
結構面白みのない試合だったと思うが、コメントを見る限り普通に楽しんでくれているようだ。魔界はこういうところがいい所だな。人間界なら、地味だと叩かれていたような気がする。
さて、次に行こう。否定はされなかったものの地味だと感じているのは事実だと思うので、インパクトのあるモンスターで戦っていきたい。
「2戦目は、岩石巨人で行ってみたいと思います!」
岩石巨人はDランク魔物なので、先ほどのアイスウルフと比べると2ランク上の魔物になる。やはり、インパクトを出すとなるとある程度強い魔物でないといけないからな。
大きく、体に100の岩石が宿っているのか特徴的だ。この体についている岩石を消費することで岩の武器を作ったり、岩石魔法を使ったりとかなり優秀な魔物だ。
さらに優秀な点が、作り出した岩石は消すことで再利用可能なところだ。つまり、岩石が破壊されない限り、無限に岩石を飛ばす魔法などが使えるわけだな。
そんなに優秀なのになぜ普段使わないのかというと、普段は複数の魔物を組み合わせて使うことが多いので、その分岩石巨人が占める体の割合が減ってしまう。その分体に宿る岩石の数も減ってしまうので弱体化してしまうためだ。
100個の岩石が宿ってこそ、本領が発揮できる魔物なのだ。今回は岩石巨人単騎ということで、そのパワーを存分に見せつけていきたいと思う。
【岩石巨人】
連戦であるためか、すぐに試合が始まった。今回も奇襲に備え、すぐに岩石巨人に変化しておく。
身長が3メートルほどまで伸びた。体重も相当重くなっているだろう。少し歩くたびにドスドスと音がする。
……今回も、奇襲はなさそうだ。さ、切り替えて相手を観察していこう。
自分が大きくなっているからあまり気が付かなかったが、相手も相当でかいな。2メートルはありそうな巨体と、その全身を覆う鎧。
武器は、盾にできそうなほどでかい斧を持っている。あれを持てるということは、相当パワーもあると考えていいだろう。全身が見えないためわからないが、そういったパワーのある系統の魔族なのかもな。
遠距離戦では迫力を演出できないと思い、相手の方へと少しずず進んでいく。相手も遠距離攻撃の手段を持っていないのか、こちらの方へと前進してきているようだ。
『ズシズシいっててくさ』
『こいつらギガントトロールみたいな足音出すやん』
『足音うるさすぎて草wwwwwwww』
『普通に床壊れるやろ』
『てかどっちも移動速度おっそ』
『ガチワロタ』
相手のと距離残り10メートルほど。そろそろ攻撃が届きそうな距離になってきたので、武器を生成したいと思う。
体に宿る100の岩石のうち30を消費し、岩石のハンマーを作る。
体から何か抜ける感覚と共に、右手に巨大な岩石のハンマーが生成された。岩石ということで、切れ味は期待できそうにないかなと思いハンマーをチョイスしたのだ。
本当は岩石の消費60くらいでハンマーを作ってもいいんだが、あの移動速度からして避けることはなさそうだし、それで一撃で相手が死んでしまってはつまらないからな。まずは様子見で行こうと思う。あの見た目からして、普通に耐えそうだけども。
ゆっくりと動かしていた足に力を入れ、相手に飛びかかると共にハンマーを横にフルスイングする。
ドガァァン!
大量の砂埃と共に、建物が崩壊したかのような大きな音が鳴り響いた。
『やるぅ』
『これ、いきなり死んだくね?』
『いや、俺あの相手見たことあるけど、これくらいじゃ死なんと思う』
『たしかに。この砂埃って、そもそもヴァリアンの武器が壊れたからできてるみたいだし。』
コメントにも来てるけど、普通はこれで死んだと思うよな。だけど、どうやらこの相手を舐めていたようだ。
吹き飛ばすつもりで全力でハンマーを振ったのだが、倒すどころか、その足を地から離すことすらできなかった。
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