第30話 クリーニングの人とエレナ
「ふぅ……今日は流石に休むかな」
飯屋での一件が街中に広まり、一躍有名人になってしまった。
噂などすぐに収まると考えていたのだが、それは甘い考えだったようだ。
冒険者ギルドを通し、どんどんクリーニングの依頼が舞い込んでくるようになってしまった。
まあ、沢山金も稼げるし魔物の扱いも上達してきているので一石二鳥だし、全然構わないのだが、流石に1週間もクリーニングだけし続けていると疲れる。
今日は休むことにして、『飯!』の飯屋にでも行くか。といっても、ほとんど毎日と言っていいように通っているのだが。
うまいし安いし雰囲気は良くて、ついつい通ってしまっている。もちろんいろんな店に行ってみたけれど、ここが1番おちつくんだよな。
「いらっしゃいませ〜あ、ヴァリアンさん! 今日も来てくれたんですね!」
「こんにちはエレナちゃん。今日も頑張ってて偉いなぁ」
店員さんことエレナちゃんだ。あのときのことがあるし、1週間も通い続けていたからか、かなり親しくしてくれている。
「いえいえ。ヴァリアンさんこそ、みんな噂してますよ。スライムのクリーニング屋さんができた! 優しくて安い! って」
冒険者ギルドに行っても、クリーニングの人で覚えられてしまっている。
これでも、GランクにしてAランクモンスターを狩れるくらいには冒険者としても強かったんだけどなぁ。魔界の魔物はそうもいかないけれども。
「はは、ありがたいことに結構繁盛したけど、流石に疲れたから今日はお休みにしたよ」
ま、いっそのこと街にいる間はこういった、戦闘以外で稼いでいくのもいいと思ってきている。
「それにしてもにぎわってるね」
店内を見渡せば、楽しそうに飲み食いする人たちで溢れかえっていた。もうお昼時は過ぎているというのに、すごい繁盛っぷりだ。
「ヴァリアンさんが店を綺麗にしてくれたおかげですよ」
んーまあたしかに、普通のお店と清潔なお店があったら、清潔な方にいくよな。
それにしても繁盛しているのは、やはりこの店の飯の美味さと、エレナちゃんの愛嬌のおかげだと思うがな。
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