『アウグストゥス』(ジョン・ウィリアムズ)読了

『アウグストゥス』(ジョン・ウィリアムズ)最高だった……。

 ローマ帝国初代皇帝となった男――アウグストゥスの生涯を、書簡のやりとり、回顧録、手記などあらゆる手法を用いて描いた大傑作。

 一部、二部、三部と分かれていて、一部がアウグストゥスがローマ帝国の基礎を築き上げるまでの軍事、政治物語。二部が彼の家族の物語。そして、一番の読みどころが第三部。

 それまで他者の視点からしか描かれてこなかった皇帝が、その生涯を自身の声で振り返る。友へ宛てて書いた手紙で明かされる皇帝の真の姿……。


 とにかく凄い小説だった。ここ三、四年読んだ中だとナンバーワン。オールタイム・ベスト10にも入る。


 ジョン・ウィリアムズといえば、いち大学教師の生涯を描いた小説――筋だけ聞くと平凡だが、しかし完璧に美しい物語『ストーナー』も大好きだ(バッファロー狩りの『ブッチャーズ・クロッシング』もいい。というか、どれも大傑作)


 大学教師、バッファロー狩り、皇帝。

 スケールや舞台に違いはあれど、精緻な文章、巧みな筆運び、静かで深い世界観。これは共通。


 僕が目指しているのはこういう小説だ。


『ストーナー』『アウグストゥス』(ジョン・ウィリアムズ)

『リヴァイアサン』(ポール・オースター) 


 いつかここまで届きたい。


 ここ最近は、読み応えのある長編をじっくり時間をかけながら読んでいるので、読書ライフが本当に充実している。


 いい作品を読むと、日々の執筆にもやはりいい影響が出てくる。

 ……まぁ、先はまだまだ長いが、一歩ずつ進んではいるので、自作に関しては根比べだ。自分なりの完璧を目指して取り組み続けるほかない。

 いやはや。



★ちなみに2023年現在のオールタイム・ベスト10


『虚空遍歴』山本周五郎

『百年の孤独』ガルシア・マルケス

『リヴァイアサン』ポール・オースター

『アウグストゥス』ジョン・ウィリアムズ

『千年の祈り』イーユン・リー

『劇場』サマセット・モーム

『緑の家』バルガス・リョサ

『ストーナー』ジョン・ウィリアムズ

『燃えよ剣』司馬遼太郎

『響きと怒り』ウィリアム・フォークナー

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