『My Life』でいいじゃないか

 10月から生活が少し変わりそうだ。

 ……まぁ、労働諸々なのだが。


 今回の職選びは、もう完全に小説を書くための生活優先で選んだ。

 給料、就業時間、通勤、業務内容……。


 これまでは「今後のために色んな経験積んだり、暇を見つけてなにか資格取ったりせないかんのかなー」と、案外殊勝(?)なことを思ったり考えたりしながらボチボチやってきたわけだが、そういうのもやめることにした。

 中途半端に社会生活にしがみついたところで、自分はモノにならねえなってのがだんだん分かってきたのだ。


 なにもいい加減に仕事をしようってわけじゃない。自分にできること、できないことをよく考えた上で選択するって話である。

 これからは《選択に自分を合わせる》のではなくて《自分に合わせた選択をしよう》方針をがらりと変えていく。


 できそうにないことは、はじめから選択肢に入れない。

 いまはできないけど、いつかできるようになりたい。

 それなら踏ん張れるが、できない上に、仮にできるようになっても、自分の人生においてなんの足しにもならない。

 そういうもののために、僕はもう頑張る気がなくなった。


 できることを精一杯やる。そっちのほうが精神衛生上いいに決まっているじゃないか。

 甘ったれの自覚はある。

 でも、僕の人生だ。人がとやかく言ったとしても、僕が自分の選択に納得しているのなら、それでいいじゃないか。


 ……と、なんかいい感じにまとめちゃっているが、僕はそもそも、できることより《できないこと》のほうが圧倒的多い。

 たとえば、同年代の人達が今後の人生において好きに選べる道が「5」あったとしたら、僕はよくて「2」か?


「君の年齢ならこのぐらいやれて当然だよね」と社会から求められるレベルに対して、僕の職歴&スキルは「貧弱! 貧弱ゥ!!」なので、いくら履歴書を送っても「無駄無駄無駄」となる。

 マイナスをゼロに持っていくだけでも要努力。歯を食い縛って頑張っても、モノになるのに一年? 二年?

 モノになるってのも、抜きん出るレベルじゃなくて、ようやく人並みになるかなどうかなーという程度だ。

 

 ……ぶっちゃけ割に合わない。


 大学卒業以降、ずっと脱線し続けている人生を元通りにするのに、どれだけの時間とエネルギーが必要なのか、考えただけでゾッとする。

 

 ――それならまだ、自分が生涯の道として選んでいるもののために、時間もエネルギーも使いたい。

「いまのうちにしっかり頑張っとかないと、あとあと後悔するぞ」と人は言うかもしれないが(職場のおじさん達によく言われる)、5年後10年後どんな風に生きているかなんてちっとも分からない。

 自分の過去にしたってこんな感じだ。いまの自分を見たら相当驚くだろう。


【5年前】……え、地元出るの?

【10年前】……お前の小説って趣味じゃなかったっけ?

【15年前】……まず大学で演劇部つくるの?(お前、野球少年だったよな?) そいでもって小説家? 俺、本読むの苦手なんだけど。


 たった15年でこんなにも環境が変わった。バリバリの体育会系人間だったのに、いまじゃインドア人間だ。


 人生なんてまるで分からない。


 借金は奨学金ぐらいのものだし、いまのところ自分で自分の面倒をちゃんと見られている。

 もしお付き合いしている人がいて、その人と先のことを考えていたら、こうも好き勝手やっていられないだろうが、幸い(?)独り身だ。たぶんこれからも。


 人様に迷惑かけなきゃ自分の好きなようにやっていいんじゃない?

 

 と、年々こういうスタンスになってきているので、自分が一番大事にしているものに合わせて人生を組み立てていく。

 これは逃避とも言える。だからこれから先、色んなものを失っていくかもしれない。取り返しのつかない失敗だってするかもしれない。


 だけど、自分で選んだ。だったらそれでいいじゃないか。


 僕は昔から「俺の人生は俺のもの。君の人生は君のもの。だからお互い好きにやってこうぜ」というスタンスなので、ビリー・ジョエルの『My Life』を聴くと、いつも「分かるわぁ」ってなる。

 それでついこんなエッセイを書いた。


 オチはないが、なんとなく書きたくなった。

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