ぼんやりと、薄暗くて

尾崎中夜

青い鳥(Twitter)症候群

 僕は2年前からTwitterをやっているのだが、最近……いや、ここ半年ぐらいかな?

 呟きをしょっちゅう消してしまう。

 残しているのは小説や映画の感想ぐらいで、日常の呟きは呟いたそばから消してしまう。その日は残していても、翌日になるとなぜか消したくなるのだ。


 なら「はじめから呟く必要ないんじゃない?」と自分でもしばしば思うのだが、そこが不思議なところで、一旦は呟かないと落ち着かない。

 食べ物や風景の写真なんかは、特に文章を考えなくてもポーンとあげてしまえばスッキリするし、フォロワーさんからの反応もあって嬉しい。

 しかし、それらにしても呟いたそばから消してしまう。


 呟きを消しているというより、自分の痕跡をなるべく残さないようにしている――こっちのほうが正しいかもしれない。


 誰かに構ってほしいけど、いざ構われると途端に面倒臭くなる。

 誰かに見つかる前に、自分からこっそりいなくなる。


 そういう性格なんだろうな、と思う。


 だからか、小説や映画の感想ツイートに「いいね」や「リツイート」がつく分には「ウヒョヒョw」だが、リプライがつくと億劫になってしまう。

「僕も○○好きなんですよ~」と同好の士がいてくれたらそりゃ嬉しい。それにリプライをくれる人は大体仲のいいフォロワーさんなので、変に気を遣うこともない。

 しかし、それでも「急いで返さなきゃ」とか「文章のニュアンス感じ悪くないかな?」とリプライを返すとき、毎回ドキドキする。


 別にやりとりが嫌というわけではないのだ。ただ、ちょっと億劫になるだけ。

 呟いたら呟いたきりでいたい。それが本音。


 なら――「鍵垢にすれば?」「リプライ制限でもすれば?」

 そういう話でもないのが、我ながら面倒なところである。

 

 孤独になりたいわけじゃない。

 本当に孤独でいたいなら、そもそもTwitterをやらなければいい。

 

 これまでの人生で「やってよかったけど、やらなければよかったもの」を一つあげろと言われたら、僕は間違いなくTwitterと答える。

 Twitterは楽しい。人の呟きをダラダラ見ることにエネルギーはいらないし、有益な情報も多い。大喜利めいたネタツイは好きだし、猫ちゃんの写真は日々の癒やしだ。


 ただ、Twitterを眺めていた時間を執筆や読書や映画鑑賞にあてていたら……(これ以上はいけない)


 それでも一応、今後は青い鳥の巣で過ごす時間を少しずつ減らしていこうとは思っている。

 日常の出来事や心のモヤモヤをTwitterでちょこちょこ呟いてその都度消すぐらいなら、いっそエッセイにでもしたほうが百倍有益じゃないか?

 そういうわけで、今こうしてよく分からん文章をカタカタ打っているわけである。

 140字の枠を考えずに伸び伸び書けるから、話の内容自体は同じであっても、Twitterで140字で収めようとするより、投稿サイトで1000字超えのエッセイにするほうがよっぽど楽だ。それに、思い切り吐き出せる分、心のモヤモヤもかなりすっきりする。

 なので、今後もなにか書きたいことができたら、たぶんTwitterではなく投稿サイトのほうでエッセイにすると思う。

 もしかしたら、こういうエッセイを書いているときに、小説のネタを思いつくことだってあるかもしれない。……まぁ、そっちはそこまで期待していないが(こんなダラダラエッセイから生まれる作品なんてどうせ大したもんじゃない)


 さて、この文章を書き始めてからそろそろ一時間半になるので、いい加減切り上げよう。

 Twitterに対して色々思うことはあっても、僕はたぶんこれから先もTwitterを完全にやめることはないだろう。というか、できないだろう。

 恥を告白すると、僕はこれまでTwitterのアカウントを三回消したことがある。


「俺には成し遂げなきゃいけないことがあるんだ。Twitterなんかやってる場合じゃねぇ!」

 

 と、毎回こういう気持ちでアカウントを消すのだが、一、ニヶ月もするとソワソワして、またアカウントをつくってしまうのだから情けない。まるで家出息子の帰還だ。


 孤高の人への憧れはある。

 周りと馴れ合わず、自分の信じた道だけを突き進み、そして結果もちゃんと出す。

 そういう人間になりたいと、本当に思っている。

 いずれは月標つきしるべのない真夜中にいても、孤独を一切感じることのない人間になりたいと――そういう人間にならなければいけないと、本当に思っている。

 

 孤高の人になれなければ、僕に未来はない。

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