第10話-プロローグ編-


昨日作った龍の角煮を入れたタッパーを取り出し、


爪楊枝(手作り)で刺し、食べ歩きをしていた俺の顔に1枚の紙が張り付いた。


『んー?…なんだこれ、何かの似顔絵?』


街から離れた閑散とした場所で、旅人らしき人物は見当たらない。自分はある意味ラフな格好のせいか、この場所に馴染んでいる様にすら感じるが…



場違い感があるより全然いいかもしれない。


ちらほらと見受けられるのは平民の子供たちくらいか



鬼ごっこか、ちゃんばら、ダルマさんが転んだ。か、どの遊びをしているのか分からないが笑い声を立てながら真横を通り過ぎてゆく。


子供はどこの世界でも元気だなぁ


そんな事を思いながら、つい先程顔に張り付いた紙へと再度視線を落とした。控えめに言ってピカソ




まず人なのか、物なのか…はたまた植物か。


あ、でもよく見たら花びらっぽいものが描かれている様な…?いや待てこれってもしかして漫画でよく見た人喰い花では。あぁ、うん、がばっと開けた口。血みどろ模様と手足の様に見える蔦。


そしてその絵の下には“愛玩動物逃走中”の文字


え?愛玩…動物?つまりペット?…飼ってるの!?




思わず紙を2度見、3度見した俺は悪くない。悪くないぞ。にしても絵のセンスどうしたよ。


『おっし!いっちょ暇だし人助けするかー!!』


拳を空に突き出し気合を入れる。やる気は満タンだ






人喰い花って喰えるのかなぁ。




勿論、純粋なる好意ではなかった。いやはや残念である。













橋の上で楽しく踊ろう


歌いながらみんなでステーキ


おばあさんが食べる。おじいさんも食べた。


お馬は食べない。子犬は食べた。




ルンルン気分で歌を口ずさみ、スキップしながら石で作られた橋の上を渡る。脳内に流れたあの有名な歌をちょっとだけアレンジし、それっぽく歌うとあら不思議。もとからそんな曲だったような気さえしてくる始末。著作権問題?…日本じゃないからバレないって。


え?よくない?あ、だめですか。まぁただのパクリだしね。にしても今日はついてたなぁ


あの逃げ出した人喰い花の捜索を引き受けたい旨を飼い主に伝え、捜索し。途中で道に迷ったらしいご老人を助けて、お昼をご馳走になり。帰り道、偶然聞こえた子供の悲鳴で駆けつければ、探していた人喰い花が子供を丸呑みしようとしていて。躊躇う事なく花を蹴り上げて救出成功。蹴りを食らった花は気絶し、そのまま花を担いで持ち主に返還。そしたらお小遣いをいただいた。




もしかして今日の占い1位なんじゃない?


貰った5万円札を握りしめ、久々に宿を取る事にした














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