第2話 世界のあらまし

さて、三聖人を語る前に、この世界について少し語りましょう。


この世界、神々が様々な存在の力をあわせ造りたもうて、幾星霜。


神々は去り、世界は人々に与えられました。


人々が神の庇護なく生きていけると判断されたからです。


神々はこの世界を『原界』と称しました。


精霊の力に満ち、光溢れる自然豊かな世界です。


神々が去り、人々が安寧に暮らしていたある時、この原界を手中に納めんと侵攻してきたものがおりました。


かつて、まだ人々が生まれる前に起こった神々の戦いで敗れ、遥か地の底の世界に追放された神々とその眷族達です。


堕ちたる神、堕神と称された神々はその圧倒的力を持って人の世を侵攻しました。


人々も力の限り戦っておりますが、力の差がありすぎてます。


不幸中の幸いか、力のある堕神達はまだこの原界に顕現できておりません。


ですが、人々はなす術なく、堕神の軍勢に蹂躙されてしまいます。


そこで、原界に近い世界の神が人々に力を授けました。


それが「魔法」です。


人々に力を授けたのは三つの世界の神。


1つ「天界」の神。天使と呼ばれる使徒を従える神です。人々に天使の力を「神聖魔法」とし、力を貸しました。


2つ「魔界」の神。魔族と呼ばれる使徒を従える神です。魔族の力を行使する術を「黒魔法」として、力を与えました。


3つ「精霊界」の神。自然の力に近い精霊の力「精霊魔法」の使い方を教えました。


魔法の力により、人々は堕神達と戦える様になってきました。


更に、奇跡が起こります。


古の時、神々の大戦により身を砕かれた神々の力、魂の様なもの。この世界では『イデア』と称します。その神々のイデアの宿った武具が発見されました。これを『神器(アーティファクト)』と称します。


魔法の力と神器の力、二つの力により人々は堕神と対等に戦える様になりました。


そして、人々と堕神との戦いが始まり、100年。


勢力は拮抗。お互いに決め手に欠ける戦いが続いてました。


そこで、ある人物がある提案を持ち出すのです。


その人物はアレンと言いました。原界で一番大きな大陸のほぼ中央に位置する国ルーンヴェスタの公子です。


その国は魔法研究が盛んで「魔法公国」と通称されていました。


その国のトップであるアレン公子は世界の王候貴族に呼び掛けます。


「人々にもっと魔法を伝えるため、研究するための学舎を造ります。ご助力を願いたい。」と…

アレン公子の想いは多くの人々に届き、魔法をはじめ、様々な事を学べる学舎を造り上げました。


貴族も平民も平等に学べる学舎。通称、魔法学校が開講することになったのです。


これから話す三聖人はそこで出会い、絆を育みました。

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