九月二十八日


「みや、写真撮ろ」

「え?なに?なに?」

「まあいいから」

食堂で昼食を食べていた宮仁を弓哉と挟んで携帯端末で写真を撮る。急なことでもしっかりとカメラ目線なのはさすが菅仁の弟といった感じだ。

「うーん、ちょっと違う」

「勝手に撮って違うってなんだよ!」

「豊和連れてくる?」

「それだ!豊和!ちょっと来て!」

弓哉が別の卓で食べている豊和を呼べば、豊和はこちらを見て残りの食事を口の中にかき込んで立ち上がる。

「なに?」

「口の中終わってからにしろよー」

「ごめん」

豊和の喉が軽く上下に動きゴクリと鳴る。そんなに一気に飲み込んで大丈夫なのかとも思うが本人はケロリとしている。そもそもの体の作りが違うのだろう。

「で、なに?」

「ん、写真撮ろう」

「いいよー、みやが真ん中ね」

右から豊和、俺、宮仁、弓哉の順に並んで携帯端末のカメラを見つめる。

「いくぞー、はい、チーズ!」

定番の掛け声と共にボタンを押す。

「あっ豊和、変顔したな」

「バレたか」


思い出は六十三年分のアルバムの最後のページに。


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