三十一幕
目を開けて辺りをみると、嬉しそうな顔の三人を見る。
「何でそんな顔してるんだ?これから俺はお前らにボコられるのか?」
いつもの減らず口を言うと「そんな事しないよ?」と言いながら、橋姫に軽く叩かれ、未知瑠には殴られ、夏希には泣かれたが最後には「おかえり」と三人が言ってきた。
暁良には何を言ってるのか、さっぱりわからなかったが取り敢えず「ただいま」と返した。
「そんで、何があったんだ?」
流石にこの状況で何も無いって事は無いと思った暁良は橋姫に聞いた。
「まず、何処まで覚えてる?」
「覚えてるって……お前と訓練してたのは覚えてるけど、あれ?もしかしてお前にK Oされた?その辺りから記憶が薄い」
橋姫はこれ位は想定内だったらしく、「それじゃ、説明するね」と言って、暁良に大討伐の事も含めて説明した。
「そうか、かなり迷惑かけたな……」
「気にしないで、わたしが好きで助けただけだし」
「あぁ、暁良は気にしないでいい」
「そうだよ!暁良さんは被害者なだけだから!」
三人は迷惑だとは思ってなかった。
「ただ、魂にはまだ酒呑がいるわ」
「そうなのか?」
「どうしても、肉体に魂を入れておかなきゃ行けなかったから、酒呑を抜いてから貴方を入れるって事が出来なかったの」
橋姫は「もしかしたら、アイツ等に手を貸してた奴なら……」と呟く。
「そうか、何にせよ助かった、この埋め合わせは必ずする」
「それじゃまた遊園地にでも連れて行ってね」
そう言うと未知瑠と夏希は「また?」と食いついた。
「暁良さん!またって何ですか?」
「またとはどう言う事だ?」
二人は暁良に詰め寄る。
「別にただ遊園地に暁良と行っただけだよ?」
その顔は少しドヤっていた。
その後二人に詰められた暁良は「今度連れて行くので勘弁してくれ」そう言って許して貰った。
そして話は戻る。
「それじゃ、大江山四天王は俺が寝てる間に残りは肌鬼だけになったんだな?」
「えぇ、拍子抜けする程に見事な逃げっぷりだった」
未知瑠はあの時の事を思い出しながら言う。
「まぁ、今回わかった事は、俺達はもっと強くならないと行けないな」
暁良の言葉に三人は大きく頷いた。
「対魔師強化教導隊に志願するか?」
対魔師強化教導隊とはベテランの対魔師でも、あまりのキツさに直ぐに辞める程の、訓練と実戦、及び知識を叩き込む学校みたいな所だ、そして十二聖の殆どがここを出ている。
「魔強導隊にか……行きたくないが、強くなる為にはしょうがないのか」
「わ、私も行きます!」
「それじゃ社長に報告しないとな」
そんな話しをしてると。
「それって私も行ける?」
そんな事を言ってきた。
「急にどうしたんだ?」
「どう言う事?」
「いや、今迄は俺達対魔師と妖怪の戦いには直接関与して来なかっただろ?アドバイスとかはしてくれたりしたが……魔強導隊に入ると直接的に関与する事になるぞ」
暁良の言う通り人間側に立って、直接戦うのは意図的に避けていたが、今回の件で気になる事もあるし、何より、酒呑を内に秘めた暁良はきっとまた狙われるだろうから、何としても近くで守りたいと言う思いが強かった……。
「そうだね、でも大丈夫だよ!」
「そうか、無理はするなよ?」
その後は、夜も遅い事や、暁良以外の三人が戦闘してた事もあり、疲れてるだろうと言う事で解散となった。
「俺は自分の身も守れなかったのか、アイツ等に迷惑かけない位に強くならないと……」
強くなる為に対魔師強化教導隊で頑張ろうと強く誓ったのであった。
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