二月十二日
駄菓子屋「たまる」も「はなだ」もどちらも校区が違ったから馴染みがなくて、幼稚園で出された肝油ドロップが好きだったことと、マフラーのミラノ巻きが上手だったことを覚えている。漫画版のダレン・シャンを読んで夢中になっていた頃に出会っていたら、と何度も考えながら勿論そんなことは無くて、五等分の花嫁だったら1、2、4が好きなところはあまりにも解釈一致だった。「ゆうて」「しょうみ」「なんちゃいける」「ワンチャン」を多用していた中学時代に戻れたら、特技(?)のあひる口をもう一度見せて貰えるのだろうかと思うこともある。
レーズンが嫌いだったから、給食のレーズンパンを食べてあげたことなんて何の自慢にもならなくて、たまに出る方言の「ぎょうらしい」とか「お好み焼きともんじゃならどっちが好き?」と訊いた時の回答「ごっつ張る」のごっつは勿論、めちゃくちゃという意味の関西弁の方じゃなかった。川崎沙希とシノンが好きな理由が髪色だったら良かった。染めて満足するB型の単純さがあればそれで良かった。藁の楯、ライアーゲーム、りゅうおうのおしごと、寄宿学校のジュリエット、モノサシスト、うごメモのマトリョシカ、ナイト・オブ・ナイツ、ダンガンロンパ……。暇を潰せれば何でも良かったなら、「出るまで回せ」理論のガチャと同じで毎年巡ってくる誕生日にも、出たその数字にも一瞬の喜びだけがあれば良かった。誕生日おめでとう。
うつろい、日々 押田桧凪 @proof
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