六月二十四日
先生が静かになるまで〇分経った、と言う先生が嫌いだった。なんなら、そいつの体内時計を世界標準時にしてやろうかって思うぐらいには俺はキレてた。大人には大人の事情があるんだと言うけれど、それを中学生に押しつけて、勝手に生き急ぐのは間違ってる気がした。俺にとってはどこまでも永遠だった。
「合法飲酒」という言葉を見かけた。成人前から飲酒していることを示唆していて、ようやっと合法で飲めることを祝うかのような、そんな意味が詰まった四文字になぜか趣を感じた。いと、をかし。これでやっと飲めるんだ、という宣言にも感じた。請ふ剣を以て舞わん、というか。中学の頃、誰かが「バレなきゃ犯罪じゃないですよ」と言っていたのを思い出す。
大人って何だろう、と思っていた。十九歳をラストティーンって言うらしいけど、二十歳になれば自動的に若さを象徴する「ティーン」から解放されるっていうか。その繰り上がりに、大きな意味があって成長した証だと言われても何か違う気がした。身長はいらない、大事なのはウィングスパンだって言う人と同じくらい無責任に思えた。俺は二十歳になった。
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