五月十七日
一人称は俺か私。よく変わっている、と言われる。言われる、らしい。いや、どうなんだろうな。俺的には変わっていると思わないし、私的には変わっているのかもしれない。
そういうどうでもいいことは、考え出したらキリがなくて、でも俺にとっては重要事で、誰かに伝えたいな、友達との話題のひとつにしたいなと思う。
朝、起きる。携帯を起動する。タイムラインを追う。歩く。かわいいと思う。それを心に閉じ込める。親しい人には話す。愚痴る。閉じ込める。走る。帰宅する。もやっとする。勧められた音楽を聴く。小説を書く。課題をする。どんよりする。閉じ込める。
そして、つぶやく。あ、これは日課ね。つぶやきの数的には廃人に近づき始めているらしい。……また、らしいだ。おい、自分のことだろ、と突っ込む。いや、伝聞かよ。こっちの方がいいか。
ルーツがある。方言がある。転勤族である。たまにさみしいと思う。おさなじみと呼べる関係はどんなものだろうと思う。気分を紛らわすために音楽を聴く。カラオケに行きたい欲がつのる。ネットサーフィンをする。タイムラインを追う。
おやすみとつぶやく。たまに、寝ゆとつぶやく。寝る。夢を見る。今まで会ったことのある人たちがいる。いない時もある。ぼやけている。これハナンダロウナ。オレガシッテイルヤツカナ。急に話し方が変わる。私が俺になる。
淡々と毎日をこなす。これでいいのかと思う。とくに深い意味はなく。誰かと話したいと思う。人並みとは何かと問う。いっぽうで、楽しければいいやと投げやりになる。そんなんじゃダメですよ、と叱るもう一人の俺がいる。俺が私になる。
音楽を聴く。絵を描く。消費する。いいねを押す。つぶやく。衝動的に何かをやってみようという気になる。結局、私は人と関わることのが好きなのだ、と思う。もやっとする。これでいいと思う。私が俺になる。
ひとりは怖いと思う。ひとはひとりでは生きていけませんよ、ともう一人の俺が言う。そんなことはありません、と私が言う。
俺と私が、声をかける。
「誕生日おめでとう」
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