燕たちの戦い ⑨〈仇討ち〉
《 アイリーン、撃て!》
ツバメ04――アイリーンは自身の名を呼ばれ、自死を渇望する
彼女の眼前には、すれ違おうとしている敵の胴体が視界を埋め尽くしている。オレンジ色に光る
閃光、そして轟音。
細く絞られた機首から発砲炎が
その
撃ち出された砲弾は5mの距離から放たれた為に炸裂はしなかった。通常、信管には最小作動距離というものが存在し、一定距離を飛翔してから爆発する安全対策が備わっているからだ。
だが、極至近距離で放たれた機関砲弾が目標を破壊するために炸裂する必要はなかった。8mm機銃弾が持つ4,000
すれ違いざまに秒間10発という発射速度で砲弾を射出する
弾頭は内部構造物を強引に押し潰しながら機体の反対側へ飛び出した後、炸裂。無数の破片を虚空に撒き散らした。
編隊を導く敵の一番機は胴体中央部から機尾まで引き裂かれ、空き缶を無理やり
機体後部を切り落とされ、垂直・水平尾翼が発揮すべき安定機能を喪失した重戦闘機は、二基のエンジンが生み出す強力な反トルクに翻弄されて錐揉みを開始。直後、排気管から噴き上がる
大爆発。空に生み出された巨大な火球は重戦闘機の残骸を飲み込み、肌を焼くような熱線が全方位に走り抜ける。
立ち昇る黒煙を背に、純白のヴェイパー・トレイルを両翼から伸ばしながら飛ぶツバメ04は更に速度を上げ、後続の重戦闘機へ向かっていく。
この時、彼女には知る
残存する重戦闘機が、
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