見た目は大人しくて陰キャな少年(男子高校生)が悪事を働いて拘束され収監される時、緊縛宙吊り電撃や鞭打ち拷問とか猟奇的な事はなくて外国よりマシかもだけどパンツ一丁で恥辱・屈辱的な検査くらいはされるかもね
@hibinokiroku
第1話 プロローグ
古くからある閑静な住宅街、暗い街灯、蛍光灯が切れかかって点滅している。ハァハァハァハァ……息を切らせながら必死で走る、マッシュボブの黒髪でパーカー姿の男。ごくんと息を呑み込む。
「(どうして、どうしてこんなことになったんだろう)……」心の中で嘆く。
18歳、高校3年、身長170cm、体重55kgの華奢な体で真夜中の住宅街を必死で走っている。そんな住宅街の夜道の一角を赤色灯が照らす。閑静な住宅街に似つかわしくないほどの複数のパトカーが右往左往している。ポツ、ポツ、ポツ、ザァー、大粒の雨が降り出した。路上駐車している一台のセダンの車。車内に響き渡る無線の声。
「南1から本部、マル被は現在もなお逃走中」
フロントガラスに雨粒がたまる。赤色灯の光が雨粒に屈折してにじむ。助手席に相棒の若手刑事が濡れた髪をハンカチで拭いながら慌てて乗り込んできた。
「いや〜降ってきましたね」
「それで……少年の両親の様子は?」
もう一人の運転席の刑事がぼそっと言った。
「はい、それが父親は不在だったのですが、母親は泣きじゃくって話を聞ける状況ではなくて……まさか自分の子供が反社会的勢力の片棒を担がされてるなんて思ってもいなかったでしょうから」
「見た目は、普通の高校生……だもんな」
「家宅捜索の結果、少年の部屋からビーカー、フラスコなどの実験器具、化学合成で密造したとされる覚醒剤、同じく化学合成で密造したとされる爆発物、3Dプリンターで密造したとされる拳銃、パソコンを押収、パソコンからはテロ計画書、官公庁へのハッキングの形跡、特殊詐欺、窃盗など数々の余罪があるとみられます……一体いくつ罪を重ねてるんだ? 高校生がテロリストみたいな凶悪犯だなんて世も末だ。これ、間違いなく特定少年として実名報道されるパターンっすね」
助手席の刑事がそう言って頭を掻きむしっていると無線から被疑者確保の情報が舞い込んできた。家宅捜索では他にもチャック付き袋に入った、乾燥した植物片なども発見された。それは焼けたロープ臭と表現されることもあるが、何とも言えない独特で強烈なニオイ、大麻(マリファナ)だ。それを破砕するための器具、そして、吸引するための金属製パイプの火皿には焦げた植物片の痕跡があった。とうもろこしの芯をくり抜いて火皿部分にしたコーンパイプも押収された。
「そろそろ、署に戻るか」
運転席の刑事は、そう言って車を発進させた。
南警察署、留置施設検査室。ここで身体検査が行われる。
「この人? (とても凶悪犯には見えない……むしろ一見真面目そうじゃないか)」
冷たく重たい手錠をかけられ、細身の腰には縄でつながれ連行されて来たうつむく少年。顔を上げるとあどけなく、端正な顔立ちで子犬のようにくりっとした目をしている。そんな容姿を見て留置管理職員は戸惑いを隠せなかった。手錠と腰縄を外す。
「これから所持品検査を行う。身につけている物を預かるから、まずはポケットの中の物を全部出しなさい」
上着のポケットからスマホと財布を取り出し、まるで空港のセキュリティチェックのように籠の中に入れた。職員は財布の中身を確認する。
「生徒身分証、ポイントカード、所持金は……13,568円」
別の職員は、被留置者記録シートに所持品などを記入する。
「靴と靴下を脱いで、このサンダルを履きなさい」
茶色のビニールサンダルを手渡された。サンダルには23と記載されている。
「23番、これが君の留置番号だから」
ここでは名前を失い、番号で呼ばれるのだ。
「それからズボンのベルトも外してここに入れなさい」
バックルを緩め、ベルトをするりと外してスマホや財布と一緒に籠の中に入れる。
「この紙を持ってカメラの前に立ちなさい」
23と書かれた紙を持たされ、身長の目盛りの入った背景でカメラの前に立つ。正面、右向き、左向きをそれぞれ撮影する。指紋やDNAの採取も行われた。
床に足型がプリントされたマットが敷かれている。
「ここに立ちなさい……危険物がないか検査するから、バンザイの状態にして」
両手を挙げると、職員はパーカーのフードに怪しいブツはないかを調べ、ポケットを裏返し再度中身を確認する。下半身も手を当てて確認する。
「パーカーを脱いで」
パーカーには泥が付着している。逮捕の際、激しく抵抗したことがうかがえる。
「次にそのTシャツを脱いで」
上半身裸の状態になったところでホクロの位置や傷の有無を調べられた。
「ズボンを脱いで」
トランクス姿になった。職員はズボンのポケットを入念に調べている。
「壁に手をついて、足をもっと広げなさい」
金属探知機のようなもので股間付近を当てられた。そして、トランクスのゴム部分を手にとり伸ばして広げ、中身を覗き込もうとした。その瞬間、職員の手を払いのけ
「ちょっ何、何するんですか」と口走った。
「動くな! じっとしてなさい」
記録係の職員に叱責され、後ろ手に抑えられた。やむなく大人しく従う。職員は再びトランクスのゴム部分を大きく広げ、中身を凝視する。
「(うぅ、恥ずかしい)……」
多感な時期である10代の少年、思わず瞳を閉じ、目をそむける。羞恥心がひとしおに身にしみる。
「この検査着を着なさい」
今度は人間ドックのような検査着を着させられた。
「パンツを脱いで」
「パンツもですか!?」
躊躇しながらもトランクスを脱いで職員に渡した。下着の内側や縫い目まで目視で点検された。
「その場で屈伸して……次にジャンプして」
危険物を隠していないかを確認するためだ。次に頭を両手でつかまれた。髪は雨で濡れていて、少しくせ毛ではあるが、さらさらしている。
「頭髪よし! 今度は口を大きく開けて……舌を出して……口腔内よし!」
その後も首周り、腕周り、掌、手の甲、足の裏、指の間のほか、目、耳、鼻、臀部など穴という穴を調べられた。次に体格検査をする。
「身長は……170cm」
そして、体重計に乗る。
「体重は……55kg、やせ型」
職員は巻き尺を手にし、さらに身体測定が行われた。
「胸囲79cm、胴囲68cm、腰囲86cm、肩幅43cm、頭周り56cm、首周り35cm、腕周り28cm、もも周り48cm、足長26.5cm」
その後、簡単な健康診断が行われ、ようやく一連の身体検査が終わった。
「検査終了! じゃあ、これに着替えて」
結局、肌着以外の着衣や持ち物はすべて没収され、代わりによれよれでサイズの合わないグレーの上下のスウェットを渡された。スウェットに着替えると鉄格子付きの個室に案内された。
「今日はもう遅いからここで一晩過ごすんだな。明朝、取り調べを行う。起床は7時だ……23番、収容完了!」
ガチャン! 無機質で重厚な鉄格子が閉まる音、先程まで土砂降りだった雨は止み、おぼろ月の明かりが小窓に差し込む、午前零時、一人ぼっち真夜中の留置場。部屋の片隅で体育座りをし、うなだれる。しばらくして上を向いて一言ぼやく。
「ここがブタ箱か、何なんだよ……あぁ、
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます