第24話 「追いかけっこ」
ウタに詳しい内容を聞きながらの移動となり歩きながら話を聞く。
「まず、これから行くゴミ捨てなんだけど簡単に言えば処分。言っても学習しない子はいらないってことで、たまーに私のところに話が来るのよ」
嫌になっちゃうわとプンプンしながらウタが向かう先はホストクラブ。
四回目でゴミ認定されるのは、仏の顔も三度までってのと4を死とかけてわかりやすくしてるらしい。
クスクスと笑う風の声が聞こえてくるので一波乱来るだろう。
目的地までは意外と近かったようですぐに着き、外に黒服が二人立ってた。
「来たわよぉ、待ち人はどこかしら」
「ご足労ありがとうございます。ハルトはお客様とアフターに行くということでこれから出てきます」
「店から出た後の処分内容はこっちで全部決めちゃっていいのかしら?」
そう問いかければ了承を得られたので、紅達はそれぞれ物陰に隠れた。
黒服たちも立ち去る気配はない。
『彼らはどうすんの?』
「あぁ、一応彼らも上に報告義務あるから見届けるまでは一緒よ」
『そっか、まぁ当たり前と言えばそうか』
そんな会話をしていると黒服たちから合図があった。
全員で出入り口を見れば、男女一組が出てきて歩いていく。
あれがターゲットなんだろうけど…うーん?
「
『いや、うーん…あの女の子になんか違和感あるんだよね』
「あんたが他人に興味持つのも珍しいね」
ウタの後ろをついていきながら三人で会話をしつつ女を観察するが、違和感の正体がわからない。
「それにしてもさ、あの子って本当にあの男が好きなのかな?」
「なんでそう思うんだ?」
「だってさ、ふつーなら好きな男が自分のために時間を使ってくれるようになったんだよ?なのに、男の方は腰に手を回したりしてんのに女の方は身を寄せるどころか顔を見もしないじゃん」
そう言われて、普通はそういうものなのかと改めて二人に視線を向ける。
興味がなさ過ぎてそこまで考えがいかなかった。
十分ほど歩いた所にあるマンションに二人で入っていき、エレベーターに乗るのを確認すると黒服が階数を見て戻ってくる。
「中に押し掛けるわけにいかないし、出てくるまで待つのもねぇ」
どうにかして玄関に行くか、ハルトを外に呼び出せないかと案を出し合ってた時だった。
「エレベーターが動きました」
まだ彼らが入ってから十分も経ってないように思う。
黒服の言葉に全員がそちらを向けば、以前に紅を助けてくれた女の子が一人で出てきた。
ハルトはおらず携帯を操作しながら出てきたその人に黒服が近寄る。
「すみません、少しよろしいですか」
「なんでしょうか」
まさかこんな所で会うとは思っていなかったが、今は見守るしかない。
「ここにお住いの方でしょうか?」
「いいえ」
「友人宅ですか」
「……今この瞬間が初めましてなのにそこまで言うはずないですよね」
「ハルトという男をご存じですか」
「誰だが知りませんがその様な友人はいません」
少しずつ距離を詰めていく黒服を少し苛立ったように見てるあの子は痺れを切らしたようで、もう行かせてくれと言い横を通り抜けようとした。
もちろん、こちらもそれを許すわけもなく、あの子は腕を掴まれて吊り上げられる。
『ウタ、あの子のk「っんのやろっっっ」ん?』
ウタに声をかけた瞬間にキレたような声が聞こえウタと同時にそちらを見れば、黒服の横っ面に蹴りを入れる女の姿。
気絶したらしい黒服が崩れ落ちたのを見向きもせず、彼女は地面に降り立った瞬間ダッシュで走り出した。
「追うわよっ!!」
間髪入れずにそう言われ、とりあえず全員が走り出す。
◇
追いかけ始めて数分。
すぐに捕まえられると思っていたが、以外にも足が速くスタミナも多い。
後方支援型の鈴蘭は早々にスタミナ切れで離脱したので置き去りにしたが、そのうち勝手に合流してくるだろう。
ウタの話ではこの先は行き止まりということだったが、相手が目視できたと同時に隣のビルの二階の窓からヒラリと入っていった。
「…私の見間違いかしら?」
「俺も見た」
『一般人じゃないのは確かだね』
黒服の一人が異能封じの異能持ちらしく、もし相手が異能者でも今は一般人と変わりない。
『パルクール経験者ってだけではなさそう』
自分たちも同じルートで中へ入るが、物音は一切しない。
下の出入り口は全て黒服たちが塞いでるということなので、自分たちが向かう先は
「上に行きましょうか」
三階から上だ。
「見つけたら取り敢えず拘束って感じでいいのか?」
「そうね、殺しちゃだめよ?」
そんな会話をしていると
[四階だよ][かくれんぼ?][あそぶー]
クスクスと楽しそうな声が溢れる。
『四階にいるらしいよ』
ぽつりと呟けば、二人は便利でいいなと言いスタスタと四階を目指す。
再会まであと少し。
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