第20話 「父親の所在確認」
自宅に着いた時、時刻はAM3時付近。
真夜中もいいところ。
流石に少しの疲労がお互い伺えるので、父親の方は休んで朝になってから対処する事にし玄関前で解散した。
自室に入りベッドに横になって一目でも奴の様子を見といた方がいいのかもと思ったが、便器がついてるからトイレ問題は大丈夫だろう。
もう今日は全部がめんどくさい。
時間も時間だし、考えるのを放棄して手早く着替えて眠りについた。
◇
ぐっすり眠っていたはずだったが、虫の知らせだろうか?
ぱっと目が覚めた。
落ち着かないな…
携帯を見ればAM8:00。さすがにまだ寝てるだろうか?
もし寝てたら起こすの申し訳ないなと思ったが電話する事にした。
Prrr「はい」
ワンコールで出やがった。
『さすがに出るの早くない?』
「ちょうど携帯使ってたんだよ。おはよ」
『起きてたならまぁいいや、おはよ』
「なんかあったか?」
『まだ何もないけど、なんとなく』
「そっか。んじゃ、今から行ってもいいか?」
『わかった』
通話を切り、着替えて今日の予定を考える。
昨日ここに来たアイツは、5年ほど刑務所に入っていて出所したその日にここへ来た。
正直、身内がその後に何か手続きをしなければならないのか、アイツが何かをしなければならないのかは全くわからない。
もう少しで来るであろう樹に聞くとしよう。
玄関に置いてあるアイツの靴はゴミ箱に迷わずIN。純粋に汚ねえ。
嫌なものを触った。
洗面所で手を洗ってるとインターホンが鳴る。
思わず眉を寄せ息を潜める。
樹は鍵を持ってるからインターホンを鳴らすことはしない。
今日は平日。
サボりを決め込んでるので美沙達は来るはずないのでいったい誰?
このまま居留守を決め込もうか…
二回目のインターホンが鳴り、音を立てないようにモニターを確認。
そこに映ったのは三人の警官。
待て待て、なんかバレたか?それともアイツ絡みだろうか?
立ち去る気配のない状態にげんなりしてLAINを開く。
紅:なんか警察来た
樹:はっ!?
紅:玄関前にいんだけど、ワンチャン父親の方だと思いたい
樹:待ってろもう着く。今からお前は陰キャになれ
最後の文が理解できてないうちに三回目のピンポン。そこにエンジン音。
どうやら樹がついたみたい。
なにやら外でざわついてるのを聞きつつ、とりあえず前髪をぐしゃっとして目を隠してマスクもつける。
こうしとけば見た目は暗く見せれてるはず?
この後はどうしたらいいのか考えあぐねてると
ガチャッ
鍵が開いた。
ということは樹が開けたのか。
ドアが開く音と樹が何やら言った後、一人分の足音がリビングに来る。
「おーい、こっちかー」
パタパタと歩いてきた樹と目が合うと、一瞬固まったと思えば
「---っっっwww」
口を押え腹を抱えて床に倒れ伏した。
『言っとくけどお前の指示だぞ』
声を出さぬように爆笑ずる姿にイラつくも、大きい声は出せないので転がってるところを足で小突いて不満をぶつける。
さすがに本人もこんなことしてる場合ではないと自覚してるらしく、すぐに切り換えて本題へ。
「外の警官は父親が出所後の連絡を入れずにいるから所在の確認をしに来たらしい。一応仮出所ってことだから所在地を把握してないといけないんだと」
『二階見られたら終わりなんだが』
「そこは俺が異能でちょろっと。だから紅はひたすら陰キャ役な」
『笑ったらごめんw』
樹がクシャっと紅の頭を撫で、手を繋ぎ玄関へ。
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