第18話 「食人症(カニバリズム)」2
最初にどの部位を食べるかでガヤガヤしていたが、話がまとまったらしい。
「脳と心臓をいただこうと思ってね、
期待の
樹と顔を合わせてお互いに察した。
そうと決まれば手早く準備をせねば間に合わなくなってしまう。
胸を開き工具で肋骨を切断して心臓を露出、頭皮にぐるっと刃を入れて剥ぎ小型の電ノコで頭蓋骨をがばっと外してその場からすぐ身を引いた。
やあ"あ"あ"...ぁっ...ぅ............
すぐ近くまで今か今かと待ちわびてた人がわっと二人に
食材たちは何やら音を発していたが、すぐに静かになった。
それを見ていた女子高生はあまりの光景に絶句していると思えば、もう片方が怒鳴り散らし始める。
「ふざけんなよ!こんなの犯罪だろ!!」
その言葉が部屋に響き、一切の音が消えた。ぐりんと主催者がこちらを見る。
「何とか言えよくそじじい!!」
興奮して今の状況を理解できてないらしく、口を閉じる気配はない。
自分だけがわめき、周りは全く口を開いていないこの状況に気づいていないようで、樹を見るが興味なさそうにしている。
私も別に興味ないしな。
しばらく罵詈雑言が響いていたが、怒鳴り疲れたのか呼吸音だけが聞こえる。
すると、ようやく男が口を開いた。
「このパーティーを開いた私からすれば君の言い分は別にどうでもいいのだよ。もちろん人殺しはいけないことだよ? 盗みや拉致も同じこと、もちろん理解してる」
仮面のせいで表情が分からないので、これからのことが予想できない。
淡々と語られる持論をぼーっと聞いていると
「君 は どう 思う ?」
なぜか話題を振られてた。やだめんどい。
『どう、とは?』
「君は今の状況は普通だと思うかね?」
『今、この状況が普通とは思いませんね。ですが、このことを認知しているのはこの場にいる者のみ』
「それで?」
『死人に口無し。嘘も貫けば真となるように、知られずに済めば別に何も起きませんよ』
この言葉に周りのものはニヤリと口角が上がり、女の子は信じられないものを見るような目でこちらを凝視。
だって本当のことだし。
「おしゃべりはこの辺にして、食事を再開しよう」
その言葉を合図に注文を受けて樹のほうは解体が始まったが、こちら側はなぜか主催者が寄ってきた。
「我々は少し思考を凝らしたことをしよう。君のような強気な子が心折れる瞬間なんてたまらないだろうね」
あぁー…これはちょっとめんどくさそう…
他の人は興味なさそうで樹のほうに行ってしまった。
台の上で縛られ身動き取れない子の上にまたがり、体を撫で回し、行為に及んでいく。
相手が抵抗し苦しめば苦しむほど男の表情は恍惚として行く。
暴力的な性行為でどんどん興奮すると言う事は、この男は
泣き叫ぶ子とそれを悠々と押さえ込み犯す男、目の前で起こる胸くそ悪い光景に嫌気が差しつつも表情には出さないように気をつける。
ーーーーーーーーーーー
ーーーーーー
ーーー
あれから1時間ほど経っただろうか。
樹のほうはもう終わったようで客は席に戻っていき、こっちは未だに行為が続いている。
いい加減立って待つのにも飽きてきた頃、動きが変わった。
「ハァッハァッ…私はねっ、一度、ハァハァ…生きている人の腹を割いてっみたかったんだっっ」
「イ"ッ…うあぁ…うぐっ…」
獣のように腰を振り続ける男は、痛みと快楽の間でうめく女の子をじっとり見ながらそういう。
やってみたかったって事は、ナイフでも渡してやればいいだろうか?
近づくのも嫌だが、この男は投げて受け取れるほど反射神経は良くないだろうからしぶしぶ近寄りナイフを渡そうと手を伸ばすと、
ガシッ!!
『なっ…!!?』
男に腕を取られ引き寄せられ、腰を抱き寄せられた。
驚いて離れようと力を込めるが興奮した男は離すどころか体をぴったりと寄せてくる。
きっ…キモいっ!なんだこいつ!!
「あぁ、篝火くん…キミも一緒にっっ…」
器用なことに腰を振るのを止める事はせず、紅の手を握りその手に握られているナイフを使い女の腹を割く。
ギャぁあァアァあぁ!!!
下腹部が割かれ皮膚や脂肪を取り除くと内臓があらわになる。
子宮が露出すると男のものが出入りする様子が見て取れ、それを見た男は何度目かわからぬ絶頂へと達した。
ぞぞぞっと全身を鳥肌が這う。
振り払ってしまいたいが、これは樹の依頼。暴れてパーにするわけにはいかない。
ぐっと力を入れて我慢してると、恍惚と一点を見つめていた顔をぐりんとこちらへ向けペロリと興奮のまま首筋を舐めあげられた。
反射的に殴り倒しそうになったが、理性と根性で押し留めとっさに樹へと視線を移すと、人を殺す5秒前のような顔だった。思わず秒でそらす。
それとなく手を振り払ってそっと1歩距離をとり行動の続きを観察する。
ものを抜かぬまま男は抱いている女の子の首筋かぶりつき食いちぎった。
すると頸動脈から血が吹き出し、あっという間に鼓動が止まり男も満足したのか身なりを整えて何事もなく席へ。
一体なんだったんだ…
自分の身に降りかかった不運と不機嫌な樹にゲンナリすることしかできない。
◇
食材の熱もなくなり客の食事が終わった。
みんなが席につきその他諸々が付着してドロドロの自分と樹は最初と同じように正面に立つ。
「今日は素敵な夕食となり、手を貸してくれた2人には礼を言おう」
「もったいないお言葉です」
樹と依頼主が細々とした話をしている間、暇なのもあり目線だけで来賓を見ていると目があった気がした。
ゆっくり視線を戻していくと、依頼者の娘がこちらを凝視していることが判明。
視線を止めず正面まで戻し、そのままいかにも前の2人の会話を聞いていますよ汗を出す。
え?なんでこっち見てんの?樹を見ろよ、こっち見んな。
話が早く終わるのを祈ってただひたすら視線を無視し続けた。
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