30歳からの再就職。失敗を絶対に許さない夫と失敗に前向きな上司

西東友一

専業主婦期

第1話

 相手の欠点を受け入れるのが結婚?

 なら、彼が私の欠点を受け入れて貰えないのはなぜ?


 結婚して三年。

 私は彼の欠点を理解し受け入れて、彼は私の欠点を見つけては絶対に許さないスタンスを変えなかった。

 

 その日は仕事から帰って来た夫のたくや(30)はとても不機嫌だった。


「ただいま・・・」


「あっ・・・えっ、あぁ、おかえりなさい」


 リビングで子どものりく(2)とうたた寝をしていた私、なるみ(30)はたくやの声で目を覚ました。私のひざの上にはりくがいて、周りにはおもちゃで散らかっていて、テーブルの上には私の食べかけのご飯とりくの離乳食がすぐに洗わなかったので、汚れがこびりついている。そういえば、ご飯の途中でりくがぐずっておもちゃを使ってあやして、りくが寝てしまったので静かにそっと背中を撫でるうちに自分も寝てしまったようだ。時計を見ると、今は夜の十時を超えていた。


「うううんんんっ」


 私のひざの上で寝ていたりくがぐずる。


「あぁ、ごめんね。りっくん」


 申し訳ないと思いつつも、たくやが帰って来たので、夜ご飯の準備をしないといけないので、りくを起こして、座布団の上で寝てもらう。この頃のりくは大きくなったので、抱っこもしんどいけれど、急がないと。


「・・・お風呂は?」


 夫のたくやはすぐにはご飯の用意ができないと察したみたいで、ネクタイを取りながら、先にお風呂を済ませようとしていた。


「ごめんなさいっ。まだで・・・・・・」


 今日はたくやの帰りが遅いと言う連絡があったので、久しぶりに天気が良かったので昼間に大掃除をして、お風呂掃除は早めに夕食を済ませてから、洗うつもりだった。けれど、昨日の夜はりくがぐずってなかなか寝かったこともあり寝てしまったのだ。


「はぁっ!!?」


 その大声に私はビクっとして、りくもうとうとしていたけれど、びっくりして目をパチパチさせていた。たくやはため息をついて、


「あのさ、前から言ってるけど、いつになったら直るの?」


 私の嫌いなたくやのワードランキング3位の言葉「いつになったら」。


「でも、今日は・・・」


「言い訳はいいからさぁ、ちゃんとしてくれない?」


 私の嫌いなたくやのワードランキング2位の言葉「言い訳はいいから」。


「はい・・・・・・」


 ミスしてしまった私が悪い。だから、たくやの言葉を受け止めた。それでも、たくやの怒りは収まらず、続けてこう言った。


「まったく・・・・・・仕事だったらこんなミス許されないからな」


 私の嫌いなたくやのワードランキング1位の言葉「仕事だったら」。


「はぁっ」


 強めのため息。

 まるで、「いいよな、専業主婦は気楽で」と言わんばかりだった。

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