『覆面面接』

石燕の筆(影絵草子)

第1話

会社の面接に来た横井は番号札を渡され、順番を待ち順番が来るとこちら面接会場と言われた部屋にノックをして入る。


「失礼します」


すると、数人の上層部らしき男女が椅子に座り寝ていた。


「あのう」


そう声をかけると眠そうに一番年かさの男がだるそうにこう言う。


「おれは面接官じゃないから、面接官に聞いてちょうだい」


皆、そう言って寝てしまう。


「誰が面接官なんですか?」


そう言うと同時に


「さあ、僕は当事者じゃないからね」


そう言ってまた寝てしまった。


憤慨した横井は部屋から出て烈火のごとく怒りながら会社をあとにした。



後日、家に会社から面接の結果が届いた。


結果は、


『不採用』


面接官がいなければ自分を表現できない点が主な不採用の理由とある。


つまりは会社の全員が、面接官だったようである。


『そんなアホな』


横井は、落胆した。

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『覆面面接』 石燕の筆(影絵草子) @masingan

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