第17話 入学.2

数日ぶりに東都市リュヘムに再び到着だ。

時間がかかると思ったから身体強化をして走ったら、メルム平野からここまで10分くらいで着いたんだよな。

五行属性・・・とても素晴らしいじゃないか。

数日前にここへやってきた時は30分くらい歩いてクタクタになってたし。


さて、数日ぶりにやってきたグロリペンス学園の正門の前だが、数日前とは違い今日から学園で住むんだと思ったら少し緊張するな。

って言ってもまだ試験がどうなるかも分からないけど。

それにしても何を始めるにしても、何歳になっても初めての出来事や環境には慣れなくて緊張するもんだ。

前世でも、面接の時なんか緊張しまくってたなぁ。

とにかく今日の目標は入学試験に合格する事だ。

父さんは大丈夫と言ってくれたが、入学できる気で試験を受けて合格できませんでしたじゃ、父さんや母さんに合わす顔がない。

何よりもエルリスがどれだけ嫌味を言ってくるのか想像するだけで腹ただしい。


「ふー。よし。」

気合を入れていざ出陣だ。


中に入ると、ガヤガヤとたくさんの人達がいる。

おそらく、俺と同様に今日からグロリペンス学園に入学希望できた人間達だろうな。

とりあえず俺もその中に紛れて待ってみた。

それから少し待ってると俺達の前に一人の男が歩いてやってきた。


「えー、今日から入学希望で来られた皆さん。ご静粛に。」

っと突然大きな声が響いた。


第一印象としては、眼鏡をかけた真面目な青年って感じだな。

その真面目な先生らしき人物はそのまま話を続けた。


「皆さん、お早うございます。ここに入学希望で来られているということは、無事五行属性を得た方達ということですね。我が学園は五行属性者として、学問、技術、自身の成長などを3年間を通してサポートさせて頂き、将来皆さんが「王国騎士」、「王国属性者」、「冒険者」、「学園職員」になり世界を守れる人間となれる事を常に考えています。この学園を卒業した方達の殆どが名誉ある職業についている方ばかりです。是非とも、この入学試験を突破し無事にこのグロリペンス学園の生徒として在籍してくれる事を学園職員全員で祈っております。」


いやはや、若い先生なのにとても落ち着いてる人だな。


「あれが、この学園で一番の五行属性者で、最強と言われた伝説の一人、五行特異魔導士のグロリア=ペンス校長先生だ。」

「うわぁ、俺なんか、写真でしか見た事ないよ。あれで60歳の年配のお方ときたもんだから驚きだよなぁ。」

「私、絶対試験を突破してグロリア=ペンス校長先生にサインをもらう!」


何やら周辺のヤツらがボソボソザワザワ言ってるけど・・・。

(え!っていうか60歳なの!)

どう見ても、20代前半って感じの外見だぞ?

若作りってレベルじゃないだろ・・・。


「え~、入学希望者はこちらを注目!」

っと、突然後ろから次はかなり元気のいい声の図太いオッサンが大きな声を放ってきた。

ふむ、次は年相応って感じの男だな。

まぁ、40代前半の熱血体育教師って所かな?


「えー、さっそく今から入学試験を開始する!では一度だけ試験内容を説明するからよく聞いておくように!いいか!一度しか言わないからな!聞いてなかったり、聞き逃したヤツは試験以前に退場だ!」


おっと。この先生はなかなか厳しい先生だな。

とはいえ、実際にこの先生の言いたい事は分かる。

前世でも、やはり就職する際に、話を真面目に聞かなかったり、聞き逃して失敗したヤツを嫌という程見てきたし、ましてこの世界じゃ命掛けの戦いをしなくてはならない時もあるだろうしな。

笑って次また頑張ろうって思っても次があるとは限らない。

そこは前世もこの世界も同じって事か。

ここにいる入学希望者達からすれば厳しくムチャクチャな先生だと思われるかもしれないが、これは子供達自身の為になるな。


さすがはオッサンだけあって人生経験豊富だ。

素晴らしい。

っと俺は心の中でオッサン先生に拍手喝采はくしゅかっさいをしていた。








  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る