第3話 まさかのこんな場所に
俺の住んでいる場所が東のメルム平野って所なんだが、30分程歩くと大きな街並みがある。
そこは兄のエルリスが通ってるグロリペンス学園がある場所でもあるんだ。
その街の名は、東都市リュヘム。
そこまでは記憶にあるんだけど、結局それよりも重要な問題があるんだよな。
教会の場所が分からん。
誰かに聞くべきなんだろうが、教会の場所すら知らないヤツなんて思われて引かれないだろうか心配だ。
という訳で俺は少しだけ教会を探してみて、それでも見つからない場合は人に聞く事に決めた。
1時間経過・・・-
「つ、疲れた。かなり歩き回ったのに教会的な場所が見当たらないぞ。クソ!仕方ない、とりあえず人に聞いてみよう。」
俺は最初の入り口の方まで戻り、そこらへんにいる人に教会の場所を聞いてみた。
「あの、すいません・・・。」
俺は入り口にいた普通のオッサンに聞いてみた。
「おー、どうした?」
「この都市に教会があると聞いて、来たんですけど何処にあるか教えてもらっても構いませんか?」
俺の問いにオッサンは目を大きく見開いて俺の両肩に手を置いてきた。
(え、な、何だ?!)
「お前、無属性者か!そういえば今日だったな!そうかそうか!(笑)」
圧迫感全快で近寄ってきたかと思えば、急に大きな声で笑いだして訳が分からん。
無属性者とか一人前とか一体何が?
よく分からんが、とりあえず俺は教会の場所を教えて欲しいだけなんだよな。
「懐かしいなぁ!俺も若い頃は教会の場所が分かんなくて探しまくったっけなぁ!」
なるほど。このオッサンも教会が分からず探しまくった迷子さんだったのか。
どうやら俺が転生してこの異世界に初めてやってきたからとかが原因ではなさそうで一安心だな。
それよりも世間話をしにリュヘムにやってきた訳でもないし早く場所を教えてもらいたいんだけどな。
「お前の家族に教会の場所は教えてもらったのか?」
(おっと。唐突に聞いてきたな。)
「場所っていうか、教会の場所を教えてもらったつもりだったんですけど、着いたらこの都市でして・・・。さっきから1時間程教会を探しまくってる感じです。」
「だろうな!(笑)」
「え?」
「教会に入りたければ、気配を感じるんだ。教会は、五行属性を得る人間一人一人に対して違う場所に出現するからなぁ。落ちついて気配を感じればお前が行くべき教会がどこの場所にあるか分かるはずだぜ!」
(ほう。オッサンのくせになかなかカッコいい事を言うな。)
「あの、ちなみにオジサンの時はどこだったんですか?」
「おー!俺の時は丁度この入り口付近だったよ!なんせ俺にしか見えないもんだから最初は驚いたぜ!」
(マジか。そんなルールがあったのかよ。さすがは異世界だな。前世での俺の常識が通用しない。)
そんなこんなで俺はオッサンに礼を言って改めて都市の中へと歩き出した。
オッサンから話を聞けたおかげで、さっきよりは心に余裕がある。
俺は、オッサンに言われた通りひとまずその場に立ち止まり、深呼吸をして周辺をよくよく観察してみる事にした。
(ん?さっきまでは分からなかったけど、あっちの方角から何か違和感みたいなものを感じるぞ。)
男の第六感的なものなのか、それともこちらの世界にいる人間独特の能力なのか知らんが、強烈に違和感を感じるので、俺はそっちの方角を目指して歩いた。
「え・・・。ここは。」
何と違和感を感じて着いたその場所は、俺の嫌いな兄のエルリスが通ってるグロリペンス学園だった。
とても大きな学園で、俺みたいな平凡な人間が通える様な学校ではないな。
それにしても、エルリスのヤツこんないい学校に通っていたのか。
というか、この学園の中から感じるけど、部外者の俺が中に入ってもいいのか?
っと、ウロウロとしていると、中から学園の関係者らしき人がやってきた。
「こんにちは。先程から学園の入り口でウロウロしてるけど、どうしたのかな?」
「あ、こんにちは。実は、今日五行属性の得る為にリュヘムにやって来たのですが、教会を探してたのですが、この学園から気配というか違和感を感じまして・・・。」
「おー!そうでしたか!素晴らしい。君が女神様からの祝福を受ける場所がこの学園だという事だね。」
「えーっと中に入っても大丈夫ですか?」
「大丈夫だよ。今日は五行属性の日だからね。この都市リュヘムには君以外にも自分の教会を目指して訪れてる人間が多いんだ。それは都市の人間全員が分かってるからね。だから、今日だけは教会を目指してきた人間が気兼ねなく入れる様にフリーにしているんだよ。」
「なるほど。入れなかったらどうしようかと思ってました。」
いやマジで入れなかったらどうしようかと思ったわ。
勝手に入って建造物侵入罪けんぞうぶつしんにゅうざいとか、住居侵入罪じゅうきょしんにゅうざいとか言われたら笑えねぇし。まぁ、とりあえずそういうのはなさそうで一安心だな。
「さぁ、中へ。」
「はい。失礼します。」
そして俺は中へと入っていった。
中へ入るとそれはそれは、とても大きく広い建造物でなされた学園だ。
詳細は分からんが。
俺は引き続き気配を感じる方角を歩いた。
しばらく歩くと、大きな扉の目の前で立っていた。
(こ・・・ここか?)
かなり大きな扉で俺一人の力で開くのかとても心配になったが、少し扉に触れると扉が羽の様に簡単にフワっと開いた。
少し驚いたが前世とは根本的に違うんだ。
いい加減慣れないと。
俺は自分自身に言い聞かせんとばかりに心で唱えていた。
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