百合だるま
やけに寒いと思って朝起きると、雪が積もっていた。
さすがに寒すぎて、制服にも着替えられない。
暖房をかけて、部屋が暖まるまで半纏を羽織る。
「見てラン! 雪や雪や!」
隣に住んでるサユキが、わたしを迎えに来た。
こんなに寒いのに、元気である。
「なんやの。雪くらいで」
サユキを家に招いて、一緒に朝食をとった。
「大阪で雪降るなんて、めったにないやん?」
はしゃぎながら、サユキはトーストをかじる。
たしかに、あまり見ない光景だ。
しかも、今日は吹雪いている。
「雪だるまつくろうや!」
「そないに積もるか?」
「積もってるやん。あっちいったら日陰やし、積もるって」
学校が終わって積もっていたら、雪だるまを作ろうと約束をした。
放課後、わたしたちは近所の公園まで向かう。
「積もってる!」
「せやけど、日も照ってきたな」
「お日さんが出きってしまうまでに、雪だるま作ってしまおうや」
雪球を、コロコロと転がす。
わたしが上を、サユキが土台を担当する。
「行くで。乗せるで」
「おいしょ」
サユキがつくった土台の球の上に、わたしが大きくした雪玉を乗せた。
ゴツゴツしていて顔もないが、まあいいだろう。
「ほんで、溶けたらどないすん?」
「そんなん、一つになるだけやん?」
「あんた、詩人やな」
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