うつむきそうになる私の顎を支える貴方の指

引き上げられた私の目をじっと見つめる貴方がいる

冷たく微笑むあなたがいる

心があなたに逆らえない

体があなたを求めてしまう

大きくてやさしい親指が

私の唇を這っていく

固く閉じていた力が抜けて目を閉じた

何かをつぶやきかけた口をそっと塞いだのは

大きく柔らく温かいあなたの唇

触れ合う唇が互いにつつきあい撫であい抱き合って

グロスのような光を放って濡れている

粘り気のある音が大きく小さく波打ち

絡み合う唇から滑り込むあなたの舌に促され

私の口は開かれて微かな香りが入ってくる

私の好きなあなたの香り

求め合うように触れ合って

むさぼるように絡み合い

私の外側を愛撫したあなたの舌が少しずつ

少しずつ奥に入ってくる

大きな厚く柔らかく生き物が

温かく私の舌を撫でまわし

私を内側から愛撫する

キスがこんなに気持ち良いなんて

あなたに会うまで知らなかった

キスでこんなに感じてしまうなんて

あなたに会うまでわからなかった

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