オートミール

きらきらとささやくような光に包まれる

サラダに紅茶とオートミール

この袋を手にとるときに

いつも頭に浮かぶあの映画


階段を降りた先にあった深夜の映画館

まどろむ私の頭に入りこんできたあの台詞


なぜお婆ちゃんと結婚したの?

オートミールの空き袋三枚と交換したんだ


うっすらと開けた目に映る

はにかむような恥ずかしがるような優しい目

あの時はひどいと思ったけど

今ならわかる男の人の気持ち

男の人の照れ隠し

本当に好きだから言えないんだよね

でもね

女は言ってほしいんだよ


ガラスの器に落ちる音

オートミールが積もる音

牛乳が注がれ白く染まる音

乾いた音と静かな音と湿った音

弾む音と沈む音と跳ねる音

銀色の音と茶色い音と白い音

私の目覚めを告げる音


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る