電話
電話で伝わるあなたの声が好き
耳元でささやくあなたの声が好き
言葉が切れたときの息遣い
文字だけでは伝わらない
耳を包む息のよう
静かな深い波のよう
心の扉が一つずつ
あなたの声で開かれて
心の鎧がひとつずつ
あなたの吐息で外されて
私はふわりと浮き上がり
時間の中を漂うの
どうしたの?なんて聞かないで
声が出ないだけだから
聞いてる?なんて聞かないで
聞き逃すはずがないじゃない
それじゃいつものところでね
ありがとうってやっと言えた
ありがとうは変だよ
電話の向こうで響くあなたの小さな笑い声
そうだよね
じゃあおやすみ
おやすみなさい
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