太陽剣士イーグル
しげた じゅんいち
第1話 太陽の剣
日本には3つの人種がいる。1つは鳥の力を有する鳥人(バードマン)、もう1つは昆虫の能力を有する昆虫人間(インセクター)、そして特殊能力を持たない人間(ベーシックヒューマン)。数年前、バードマンとインセクターの大きな戦争が起こった影響からバードマンは力を持たないベーシックヒューマンを『防衛』という名義で上空に母艦を置くことで監視していた。
「邪魔だよな。あの戦艦も、あの壁も。」
そうつぶやいたのはベーシックヒューマンの世界で生きる飛鷹灯夜(ひだか・とうや)だ。彼は数年前からこのバードマンの住んでいる『鳥籠』の外壁の近くの小さな町に住んでいる。何年か前にこの町に流れ着き、自分の身を保護してくれた天野資仁とその孫である天野あすかの3人で暮らしている。この町に着くまでの記憶は定かではないが特に気には留めなかった。今、資仁とあすかの3人で暮らすこの時間がいとおしかったからだ。
「おい、灯夜。ちょっと買い物頼まれてくれないか。」
「いいよ。じいちゃん。」
きっと今晩もうまい飯を作ってくれるんだろう。そんな期待を寄せながら調味料を買いに自転車を漕いだ。灯夜はこんな日がずっと続くものだと思っていた。今日までは。
買い物を終え自転車で家路を急いでいた灯夜は4人の男に囲まれた。その場を自転車で去ろうとするも、振り切るどころか再び囲まれた。すると男たちはゴキブリのような姿に変わった。男たちはインセクターだった。
「何だよ、あんたたち。まさか…。」
「見つけたよ。我々の本能が『因子』を感じている。」
「何だよ、『因子』って…。」
「それには答えない。一つ言えるのは君は抹殺対象ということだ。」
「そんな、意味の分からないことで。」
「知らないまま逝けることを光栄に思いたまえ。」
「い、いやだ…。」
灯夜は足がすくんでいた。ゴキブリのインセクターが詰め寄った瞬間、そのうちの 1体が一瞬にして背中をたたき切られた。残りのインセクターは動揺した。その場にいた全員の視線の先には鷲のスーツのような姿をした人間がいた。
「貴様…まさか…。」
インセクターのうちの1体がそういうと戦士は剣を天に掲げ、叫んだ。
「太陽剣士、イーグル!」
掲げた剣は光を反射していた。よく晴れた昼下がりのことだった。
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